三毛猫物語
26.12.09 東京都清瀬市
北国は大雪、師走も中旬に入りました。
それでなくとも気ぜわしさを増す頃、選挙まであって、
いよいよ慌ただしく、時は暮れに向かって進んでゆきます が
獅子丸君 どうしたの “ シッ シズカニシテ ”
何か見つけたのか、獅子丸君にしては素速い動きで堤の石垣を登ってゆきます
登りきると じっと様子を窺っている模様
多弁な獅子丸君がおしゃべりも遮って 夢中に観察していたのは
あの「ヒミツ」のミケコちゃん
地面に顔を付けるようにして、捜し物でしょうか
ミケコちゃんなにしてるの
“ ヒ・ミ・ツ ”
やっぱり 絶対教えてくれません
獅子丸君は様子を見ていましたが、ミケコちゃんのあとについて行ってしまいました。
それで、今日は特に御意見もありませんでした。
またね “ ジャアネ ”
26.12.14 東京都清瀬市
この散歩のコースは最近ちょっとつらい道になりました。
この後ろ姿
“ イイ オテンキニ ナッタネ ”
そう コギツネ子ちゃんです
“ アソボ ”
そうね
コギツネ子ちゃんはこの散歩の道筋の農家の飼い猫です。
幼猫の頃から、散歩人を呼び止めては話しかけてくる可愛い猫です。
最近 そのお家にお嫁さんが来ました。
近隣の散歩人から 道すがら聞きかじった話です。
猫が嫌いな人で、自分が来たからには猫は家に置かないで貰いたいとの要望。
それで コギツネ子ちゃんはお家を出されて、少し離れた畑の中の物置小屋に
ゴハンを運んで貰って 一人で暮らすことになったのです。
コギツネ子ちゃんといえば、オカアサンはお稲荷様のお社近くに住む
あの キツネ子ちゃん
“ フフ ”
ほかに見ない 異様な迫力を感じさせる三毛猫です
散歩仙人は キツネ子ちゃんには妖気が漂っている と言いますから
“ カワイイ コドモ マサカ イジメテハ イマイネェ ”
だいたい、もともといた家族を追い出さなければ一緒になれないような人を
新しい家族に迎える というのは、どうなのでしょう。
根本的に 組み合わせとして 危なっかしい感じがします。
この先何かあったとして、それは別にキツネ子ちゃんの祟りではないと思いますよ。
26.12.13 東京都清瀬市
そういえば、我が家の三毛猫にも事件があって
“ ダッテ ヤダッタンダモン ”
驚いたことに、三日ほど前、ニセタヌキ君にオヤツをやろうと濡れ縁の
ガラス戸を開けた途端、みやが威勢良く足下をすり抜け、
ニセタヌキポン太君を目掛けて突進。飛び掛かって行きました。
激しい勢いにポン太君が逃げるのを追って、あっという間にふたりとも、
私が呆然とするうちに 庭の端から視界の外へ消えてしまいました。
我に返って玄関からふたりを探しに出ると、みやはすぐに帰って来ましたが、
それを最後に ニセタヌキポン太君は姿を見せなくなりました。
毎日、日に何度も立ち寄るようになっていたのでしたが。
この頃は あの子も御近所で乱暴しなくなったし
進んでお話もするようになってきて よかったと思っていたのに
“ デモ ミヤチャン ヤダッタンダモン ”
みんなとけんかしなくなったでしょう 良い子になるところだったんだよ
もう一息だったのに あんなことしたら 仲良くできなくなっちゃう
みやはバツが悪くなったのか、せっせと毛づくろいを始めました。
“ ミヤチャン ツヨイヨネー ニセタヌポン ミヤチャンノ 倍クライオオキイノニ ”
たしかに、あの巨体の、実戦に慣れた荒くれにゃんこが、
本気で反撃してきたら、小さいみやなど ひとたまりもないでしょうに。
何と向こう見ずな猫でしょう。
“ ミケネコハ 気ガアライッテ イウシネー”
それは本当かも知れないね
キカラスウリ 26.12.14 東京都清瀬市
木枯らしがカラスウリを揺すります。
日が短くなり、あっというまに日が暮れます。
コギツネ子ちゃんは、間違えないで畑のお家に帰るでしょうか。
ニセタヌキポン太君は また暗い目つきに戻っていなければ良いのですが。