ヒヤリ ひたち君
明け烏 23.4.29 東京都清瀬市
明け方5時頃、居間で本を読んでいたら、水飲みのあたりにいたひたちが変な音を立てます。ヒュッ、ヒュッという咳のようなしゃっくりのような。本を置いて見にゆくと、ひたちはごはんの食器と水飲みのあるあたりで、立ちすくんだまま、やはり咳をする時のように肩を震わせてヒュッ、ヒュッとやっています。
嚥下ができずに喉にひっかかっているのだろうか。変なものを口に入れて、飲み込み損ねているのだろうか。
吐けるものなら吐かせようと思い、急いでひたちを横にして片手で口をこじ開け、指を突っ込んでみましたが、喉に引っかかっているようなものはありません。吐き出しもしません。
痙攣するようなヒュッ、ヒュッは止まりません。
もっと奥に何か引っかかっているのでしょうか。
どうしよう。掛かり付けの獣医さんは診察開始が午前9時です。お住まいは病院とは別なので、時間外の緊急の時はどうしたらいいか、今まで考えたことがありませんでした。
朝5時は早すぎる時間ですが、F・みみちゃんのお宅に相談しようか。
みみちゃんの掛かりつけは家とは違うお医者さんです
背中をさすりながら、様子を見ますが、白目を剝いているわけでもなく、呼吸がしにくいようでもなく、ひどく苦しんでいるようには見えませんでした。
姿勢が横になるように抱いて、さすっていると、不思議なことに、普段抱っこする時と同じに、ゴロゴロ ゴキゲン音が出てきます!!
どういうことでしょう。具合が悪かったり苦しかったりしたらゴロゴロはないのではないか。
改めて目をのぞき込むと、にっこりするひたち君。ちょっと気が休まりますが、依然としてヒュッ、ヒュッは止まりません。かれこれ10分近く続いています。
(その時のスナップではありませんが、だいたいこんな感じ)
ふと気がつくと、みやも起きてきていました。
"......"
傍に来て、見ています。
ひたちの顔に鼻先を寄せて、静かにひたちの口許を舐めます。この日、私が一番緊張した瞬間は、実はこの時でした。
普段のみやは私たちがひたちを抱いているとあからさまに不機嫌です。多分慢性的にひたちに焼き餅を焼いているのでしょう。やって来て、止(と)めないとひたちの顔や頭を高速猫パンチします。みやは張り手の名人で、小さな手でパンパンパンパンッと高いよい音を立てて叩きます。
そのみやが、抱っこのひたちに優しくするなど、ただ事ではない感じがしたのです。
23.4.25 東京都清瀬市
ヒュッ、ヒュッはそのうちに止まりましたが、みやがひたちを舐めつづけています。ひたちはじっと目をつむって舐められています。動きません。
寝ている主人を驚かせて、相談して、ともかく朝一番で獣医さんに駆け込むことに。
何を飲み込んだのだろう、ことによると手術かな、それでも手術で済めば良いけれど、食いしん坊がまさか命取りになるのでは...と心配しながら。誤飲がもとであっけないことになったという、どこかで聞きかじった話が頭を過ぎります。
開診前の待合室は大型犬ばかりでした。そして、レントゲン2枚を撮ってみると、
「問題になるような異物は何も入っていません。映っているのはウン○です」ということだけでした。
結局、あったことから考えられることは、水の飲み方に失敗して咽せていたのですね。
人騒がせな。
"ビックリ ダッタネー"
何ともなくて よかった よかった
"世ハ ナベテ コトモナシ 見回リ 行ッテ来ルカー"
のどかな午後のカラスです
そうしてみると、みやはひたちをそれほどは嫌っていないのかも知れません。我が儘なので、とかく態度は高飛車だけれど。
みやに舐められている時じっと動かなかったひたちは、いつにないやさしさにただ緊張していただけで、実はちょっと嬉しかったのかも。
"マア ヨカッタケド アンマリ クッツカナイデ! アッチ行ッテ!"
ちょっと怒りん坊のみやの方に馴れてしまっています
いろいろ考え合わせてみますが、ともかく大事でなくてほっとしました。
お医者さんから帰ると、ひたちは夕方まで爆睡しました。家族も気を揉みましたが、何しろ苦手な大きな犬に囲まれて、本人もさぞかし気を遣って疲れたことでしょう。
そのあと、その日のウン○もあり、ご飯もらくらく食べて、みやはまたまつわるひたちを邪慳にして、普通の夜がやって来ました。
水木 23.4.25 東京都清瀬市