花送り猫
22.4.24東京都清瀬市
山ざくら 散れば咲きつぐ影尋(と)めて
おほかた春は 花に暮らせり
待っていた山桜が咲き、愛しんで眺めて、それが散ってしまうと、咲いている別の桜の木を探し、その花が終わると、また。次々と桜を尋ね続けて、およそ春のすべてを桜を追いかけて過ごしてしまった。
24.4.9東京都清瀬市
これは江戸時代の万葉集研究の大家、賀茂真淵先生の歌です。割合単純に真っ直ぐに桜への愛着を歌う歌の数々に生真面目で質朴な人柄が偲ばれます。
この歌の時期はちょうど今の頃でしょうか。同じ桜でも、花には早い遅いの木があって、次々と尋ねればかなり長い時期にわたって桜を見ることはできるのですが、さすがにそれにも限りはあります。四月も末、陰暦でいう弥生の三月も残り僅か、関東では桜とはすっかりお別れの季節。あたりは新緑の季節に移ってまいりました。
25.4.23東京都清瀬市
“ オサンポ ニ キマシタ ”
散歩の野原も足許の緑が繁ってきました。
野原の奥から散歩道に 白ネコさんいきなり登場。
こんにちは
“ オサンポ ニ キタノ? ”
お散歩に来たの
“ アソベル? ”
初めて会う猫さんです。鈴を長く垂らしたおしゃれな首輪をしています。
ちょっと距離を取りながらも、返事をすればまた話し掛けて来て、
人懐こいおしゃべり好きのようです。
しばらくお話すると、“ジャアネ”と言って曲がり角を曲がってゆきました。
野原でひとしきり遊んで、お家に帰るのでしょうか。
帰りの森には、いつもの獅子丸君。
今日も今日とて散歩人を呼び止めます。
“ ネエ ネエ ”
なあに
“ ナニカ ヨウジカナ ト オモッテ ”
獅子丸君が呼んだんでしょう
“ マア ナントイウカ サクラハ オワッタ ヨウダネ ”
緑のそよかぜの季節だね
そよかぜの渡る森を過ぎ、野道を過ぎて散歩道を帰ってくると、庭先には
“ オカエリ ”
また来てましたか
チョロンの春はまだ終わらないらしく、外出時間が長いようです。
夜も 特徴のある巻き舌の泣き声が聞こえる時があります。
ちゃんとお家に帰ってるかな
“ ”
“ マタ 来ル ”
夜遊び傾向が気になるものの、よく立ち寄ってくれるのがちょっとうれしい。
“ チョロン イッチャッタ チューリップ モ オワッチャッタ ”
“ モウ ネルネ ”
桜が終われば季節が変わる。また別の花も咲きますが、春の背中が見え始めました。
25.4.28 東京都清瀬市