春のはかないもの
二輪草 23.4.14 東京都清瀬市
「スプリング・エフェメラル」という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。「春の儚(はかな)いもの」「春の短い命」というほどの意味ですが、春の一時期姿を見せ、花が終わると見えなくなってしまう草花をいっときの命のように見て名付けられた総称です。福寿草やイチゲ、アマナ、カタクリなどがその代表です。
花のあと見えなくなると言っても、消滅してしまうわけではありません。花をつけ、葉を茂らせる間に光合成を行い、地下茎や種子に蓄えたその栄養素で、次の春までを静かに地中で過ごすのです。私の住まいのある武蔵野の一隅は、今いっとき、このはかない可憐な花々で賑わっています。
ヒロハノアマナ 23.4.4 東京都清瀬市
カタクリ 23.4.7 東京都清瀬市
二輪草 23.4.14 東京都清瀬市
和田草 23.4.14 東京都清瀬市
アヅマイチゲ 23.4.7 東京都清瀬市
菫の仲間もいろいろな種類が顔をのぞかせます。
葵菫 23.3.29 東京都清瀬市
菫 23.4.9 東京都清瀬市
立壺菫 23.4.9 東京都清瀬市
ひっそりした林の中を散歩していると、こんな所でも散歩の猫に遇います。
こんにちは
" ダレ? ドコカラ 来タノ?"
あちらもこちらを観察しています。興味はありそうですが、毎日会う人ではないからでしょう、用心深く少し離れています。
うぐいすの春の歌がめっきり上手になったこの頃、みやのお気に入りの窓から見える小鳥の顔ぶれがちょっと寂しくなってきました。 渡り鳥が北へ帰る季節が始まったのでしょうか。
何見てるの
"ミミチャンガ 走ッテイッタ"
ひたちは相変わらず「なにか一つ持って寝る」お昼寝
23.4.9 東京都清瀬市
短い間に姿が見えなくなるとはかないと感じるのは、それを愛しみ、別れを悲しく思う私たちの受け止め方です。
「スプリング・エフェメラル」の植物はこの世から消えてしまうのではなく、地中で逞しく力を蓄えているだけ。時が来れば自力で芽を出し、美しい花をひらいて、今年も元気に笑っています。お別れは寂しいけれど、この花たちが本当にはかないわけではないのです。