2014年8月23日

処暑蝉採り猫

   
              
0819鷺2IMG_9723.jpg                                            26.8.19東京都清瀬市

  8月23日、二十四節気の「処暑(しょしょ)」が訪れました。

  「暑を処(お)く」または「暑を処(おさ)む」。
  「処」はここでは「落ち着かせる」「おさめる」の意味でしょう。

  江戸時代に著された、おなじみ『暦便覧』[太玄斎 天明7年(1787)]によれば、
 「陽気とどまりて、初めて退きやまむとすればなり」とあります。
  暑さがピークを過ぎ、後退し始める時期という説明をしています。

  ここまでが暑さの峠。登り詰めたところにいたわけです。

              
0819鷺2IMG_9734.jpg                                            26.8.19 東京都清瀬市

  野原に面した道の辺(みちのべ)
         
0823にやIMG_7466.jpg
   大きな車の下の日陰で 溶けるようにお昼寝しているのは
   あの みやによく似た のぞき猫

        にやちゃーん!!   
         
0823にやIMG_7472.jpg              “ ン…… ”

    耳が立って ちょっと頭を起こしましたが

         
0823にやIMG_7473.jpg             “ ……ネム  ”

    頭が向こう側に倒れました。

    眠さの勝ち

  私がわかったのかどうかはわかりませんが、危険ナシ との判断なのでしょう
  
  暑かったね。
  これから少しは涼しくなるかな。


  あたりは蝉時雨

  喧しいようで どこか涼しげにも聞こえる不思議な響きです

          
0823みんみん蝉IMG_0358.jpg                                     みんみん蝉 26.8.23 東京都清瀬市


  蝉時雨の公園の中に、いつも仕草が奇妙なチャー君

          
0823チャー君IMG_7737.jpg                   “ ヒサシブリダネ ”
    ひさしぶり 元気でいたかな

          
0823チャー君P6090074.jpg              “ ウン セミトリニモ アキタ ”

    やっぱり 蝉採ってましたか

          
0823チャーP6090072.jpg          “ ソレハ ナツダカラネ ”

     準備運動なの?   相変わらずの軟体ぶりです


  よく見ると、足下には蝉の亡骸(なきがら)も多いこの時期、
  さらによく見ると、蝉の一部が欠けているものも目に付きます。

  猫は近くで動くものを反射的に狩りの対象にするので、瀕死の蝉が捕まるのは
  夏の虫の運命です。

  漱石先生の猫氏も、この時期の「セミ取り運動」を語っています。

    取つて面白いのはおしいつくつくである。これは夏の末にならないと出て
  来ない。八つ口の綻びから秋風が断わりなしに膚を撫でてはつくしよ風邪を
  引いたと云ふ頃、熾(さかん)に尾を掉(ふ)り立ててなく。善く鳴く奴で、
  吾輩から見ると鳴くのと猫にとられるよりほかに天職がないと思はれるくらゐ
  だ。秋の初はこいつを取る。これを称して蝉取り運動と云ふ。...中略...    
  これもついでだから博学なる人間に聞きたいがあれはおしいつくつくと鳴くの
  か、つくつくおしいと鳴くのか、その解釈次第によつては蝉の研究上少なから
  ざる関係があると思ふ。人間の猫に優るところはこんなところに存するので、
  人間の自誇る点もまたかやうな点にあるのだから、今即答が出来ないならよく
  考へておいたらよからう。
                        夏目漱石『吾輩は猫である』
          
0823蝉IMG_0422.jpg
                                   ツクツクボウシ26.8.23 東京都清瀬市

  オシイツクツクとはツクツクボウシ。もう盛んに鳴いていますね。
 「夏の末」になっているのです。

  ちなみに、猫氏の「セミ取り運動」は「蟷螂狩り(とうろうがり)」の次に紹介されている「運動」です。「セミ取り」の次は「松滑り」。これは純粋な木登りだそうです。
  街中(まちなか)の猫でしょうが、この猫殿は移りゆく自然観察の中によく収まる姿で遊んでいます。

     
0814秋海棠IMG_9168.jpg                                           26.8.14 東京都清瀬市


    夜も蝉の声の聞こえるこの頃のこと、
    御町内の猫ももちろん「セミ取り運動」に興じています。
     
0823ワガハイ君IMG_9558.jpg “ カマキリ(蟷螂)ハ オモシロイケド ダマッテルカラ セミノホウガイイナー ”

    まだ若いけれど 風格のあるワガハイ君です

     
0823ワガハイ君IMG_9579.jpg     “ ウチノオニワニモ イッパイ トラレニ キテル ”


  外を出歩かない我が家のふたりでさえ 蝉採りに無関係ではいません。

  なぜか、夜に窓際近くに飛び込んできて、ジージー暴れる蝉が絶えないのです。
     
0823蝉窓DSCF6834.jpg                            “ キテル キテル ”

      
0823蝉窓DSCF6833.jpg                     “ アソコニ イルネ ”

    濡れ縁で暴れている蝉に夢中になっています。

    中には 細く開けてある天窓から飛び込んでくる不運な蝉もあり、
    屋内に入った蝉は間違いなくふたりの獲物になります。

    猫の狩猟能力は実に侮れないものです。ひたちでさえ。
          
0823ひたDSCF2184.jpg      “ ジツリョクアルンダケド シマッテルンダヨ ”


  さて、近代の詩人で彫刻家でもあった高村光太郎は 好んで蝉を彫りました。

     乾いて枯れて手に軽いみんみん蝉は
     およそ生きの身のいやしさを絶ち、
     物をくふ口すらその所在を知らない。
                    「蝉を彫る」抜粋  高村光太郎


  漱石の猫氏が「横風で(偉そうにしていて)行かん」と評したミンミン蝉の様子を、
  光太郎は 上等な、ある種高貴なものに見ているようです。

  好きな昆虫はほかにあっても、造形として蝉には特段の魅力を感じるということ
  を、文章(「蝉の美と造形」)にも書いています。
            
0823蝉光太郎2201308semi008.jpg                                        高村光太郎「蝉3」

  盛んな蝉時雨も 耳を澄ませば夏の終わりの配合です。
  間もなく もっと透き通ったヒグラシの声が響きはじめます。

          
00823林間2P8230029.jpg                                          26.8.23 東京都東村山市



  




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