雨中の訓練 目撃猫
“ ヤダ ボク アンナノ ゼッタイ ヤダ ”
今年の春に生まれた黒白の仔猫、チョビ坊です
もう小学生くらいにはなったかな
まん丸目玉でどうしたのかと思ったら
梅雨空の下、水辺ではカルガモの子育てが続いています。
“(集合)!”
カモのお母さんは鋭いよく通る声で 短く鳴いて指示を出します
フワフワ遊んでいた子どもたちが みるみる集まって列になります
素速い動作です
母鴨は川上に向かって進みます どこか目的地があるのでしょうか
かなりのスピードですが 後ろを振り返ることもしません
子どもたちは 列になって 懸命に付いて行きます
もしかすると これも訓練の一部なのかも
着いた場所は
水が渦を巻く ちょっと流れの速い場所です
岩に上がってひと休み
やがて母鴨だけがまた上流に向かって川に入りました
ここは実はこんな場所
流れが二段の堰(せき)になっている そのすぐ川下の位置
下の堰の段はまだ浅く、上の堰はかなり高い段差がありますね
急角度で落ちる水は子鴨にとっては十分な滝です
母鴨は この勢いよく落ちる二段の滝を遡(さかのぼ)って見せて
小さな岩の上に立っています
どうやら 子どもたちに ここまで登っておいでと言っているようです
“ ココカラ イケルカナ ”
失敗しても 何度も 何度も 頑張っています
水から上がってちょっとひと休み
濡れた翼を乾かして
“ ミミニ 水ハイッチャッタ ”
上流の滝を眺めます
“ ガンバル カ ” “ タカイヨネ ”
“ ンン ”
子どもたちは挑み続けます
川辺に張り付いて 湿った叢(くさむら)の中から
チョビ坊やは その様子に見入っています
“ ボク オヨゲナイカラ ゼッタイ ヤダ ヌレチャウシ ”
大丈夫 チョビ坊ちゃんのお母さんは アレしなさいって言わないから
結局 この日二段の堰を登り切って 母鴨の試験に合格したのは
一羽だけでした
散歩仙人に拠れば この訓練は 日に何遍もくり返されていると言います
“ カモッテ バカナノカナ ”
こらこら
お散歩猫のチャー君 水は嫌いなので 川の縁までは行きません
鴨には鴨の 猫には猫の努力があるはずです
しかし 努力が見えにくいのが 猫
“ ナニ? ”
“ ネムイカラ アトデネ ”
カルガモ親子の訓練は続いている模様です
26.6.1 東京都清瀬市
※本記事のカルガモの画像は、すべて2026年6月3日
東京都清瀬市柳瀬川で撮影