立夏お散歩猫
26.5.1 東京都清瀬市
5月の5日が二十四節気の「立夏(りっか)」でした。
春の花の季節がひと刻み過ぎて、初夏に向かって野山はさまざまな緑の萌える頃になりました。
獅子丸君 ごきげんいかが 暦の夏に入りました
“ ノハラガ ニギヤカニナッテキタネ ”
たしかに。辛夷(こぶし)や木蓮が天蓋のように空を覆って咲いていた豪奢な春が過ぎたあと、明るさを増した森や野原は、足下にかわいらしい花々が咲き乱れています。
花のあたりを蝶や花虻の仲間が飛び交う盛んな景色が、夏への扉をゆっくり開こうとしています。
26.5.1 東京都清瀬市
26.5.1 東京都清瀬市
“ ♫ ワカクサ モエル オカノミチ♫ ”
はじめまして 好いお天気が続くといいね
この、クロネコさんは、きれいな首輪を付けた飼い猫です。
明るく挨拶をしながらも、まったく足取りを変えません。
“ オサンポガ トッテモ タノシクナッテキタ ”
そうね この道を歩くことが本当に楽しいのね
行き会ったお散歩人のお話では、このクロネコ嬢、何故か お散歩している
よその犬さんたちのあとについて歩くのを好むそうで、この日もたまたま
通りかかったお散歩犬のあとを、トコトコ歩調を合わせて付いて行くのでした。
26.5.5 東京都清瀬市
かわいい花々を足下に見ながら、この爽やかな緑の風の中を歩く散歩は、クロ嬢でなくとも快適です。外歩きがとりわけ楽しい季節の一つでしょう。
楽しいだけでなく、古代においては、この時期はやがて来る長い雨期を前にしたさまざまな準備を野原でする時期でもありました。
その一つが野遊びです。
雨に降り籠められるとできなくなる行楽を、今のうちに楽しもう、ということでもありますが、それだけでなく、薬草として使う野草を野山に求めて摘むことも野遊びの目的でした。
薬草は摘むと乾燥させてまとめて薬玉(くすだま)の状態で保存します。要るときに煎じて飲んだり、傷に外用薬として使ったりする必需品でした。漢方薬として今日(こんにち)その成分が利用されているものの多くは、古代の野遊び以来の伝統を持っています。
梅雨に入る前のこの時期に、古い薬玉を新しいものに取り替えるのが習わしでした。野遊びは季節の楽しみであるとともに、この仕事を兼ねていたと言えます。
猫は そんな実用的な目論見(もくろみ)もなく、ただ散歩を楽しんで野原の幸福だけを享受する、まことに高踏な生き物です。
“ ハナミテクラス ハルハ ミジカイ トイウネ”
御町内の公園や近いところで桜のお花見をしたグレコちゃん
我が家の庭の春の花も あらかたはおわり
“ チョット オサンポ ニ デテミルカナ”
迷子にならないように あんまり遠くに行かないでね
しかし、そういう私も、どこか遠くまで行ってみたい気がしてくる。
緑の風が誘うのでしょうか。
26.5.3 東京都清瀬市