勉強の友
23.10.26 東京都清瀬市
私事で恐れ入ります、大学を出て以来、長く続いていた辞書執筆の仕事が片付いて、ようやく『古典基礎語辞典』(大野晋編 角川学芸出版)という一冊の本になりました。この10月20日に刊行されましたが、原稿の見直しに余念なくお過ごしだった大野先生の御寿命に間に合わず、 お亡くなりになって三年後の刊行となりました。始めてから結局三十年かかりました。
この途上に結婚し、子供を授かり、婚家の父母を看送り、子供たちが成人し、と時を過ごしてまいりましたことを思うと、私の一生の中にいかにも長い時間でありました。この間を、周囲に恵まれて、ともあれ途切れずに勉強を続けて来られましたことを幸いに思い、感謝致します。
諸般の事情で始めの構想を変更しなければならなくなり、辞書の規模を小さくしなければならなくなりました。語数は当初希望した分量のおよそ九分の一、基礎語の3200単語に限り、単語ごとの記述も大幅に削りましたから、三十年の間に書いた原稿の多くは載せることができませんでした。それでも、ここまで形になった小冊が今後の言葉の研究になにかしら役立つものでありますように。いろいろな人の机辺に、孤独な勉強を励ます友となることができましたら幸いです。
我が家の猫は歴代みな書斎の友で、夜更かしの勉強に付き合います。みやとひたちもここに来たばかりの赤ちゃん猫の日から勉強の友をしてくれて今日に至ります。これからも、よろしくね。一緒に勉強しましょう。