緑の風のボン子ちゃん
日差しが澄んで、あたりを吹く風が軽くなってまいりました。
26.5.18 東京都清瀬市
緑の風が渡る 野原は小さな花が咲き乱れ
野生暮らしの烏骨鶏(うこっけい)
野薔薇 26.5.11 東京都清瀬市
森の栴檀も今花盛りです。
栴檀 26.5.17 東京都清瀬市
せんだんの花のうすむらさき
ほのかなる夕(ゆふべ)のにほひ、
幽(かす)かなる想(おもひ)の空に
あくがれの影をなびかす。
「栴檀」(三木露風)
古典で楝(あふち)として出てくる花は、これと同じものです。
『万葉集』には楝を歌った歌が4首見えますが、その半分は時鳥(ほととぎす)と詠み合わせられています。
時鳥は、万葉時代から始まって、貴族的美意識に統御されて和歌が高度に進化した『古今和歌集』以後も長く、夏の歌の中心的素材として近世まで受け継がれて行きます。その時鳥のかたわらに、卯の花や橘ほどではありませんでしたが、栴檀も夏の花として昔から人々の歌にあったのです。
栴檀 26.5.17 東京都清瀬市
平安中期の随筆『枕草子』は、木に咲く花の趣を列挙した段に栴檀も挙げています。
木のさまにくげなれど、楝(あふち)の花いとをかし。かれがれに
さまことに咲きて、かならず五月五日にあふもをかし。
『枕草子』37段「木の花は」(清少納言)
栴檀はアジア各地の熱帯・亜熱帯域に自生する落葉高木です。なるほど南方の植物らしく、葉や枝がむやみに繁り合う盛んな感じがある一方、薄紫の細い花弁の小さな花が集まって咲いているのは、むしろあえかな優しみを感じさせます。そうした風情を敏感に感知する清少納言という人は、もちろん何ごとにつけ感度抜群なのではありますが、こうした優しみにこそ、敏感なセンサーを実は持っていたのではなかったかと思われます(回想浄化)。
栴檀 26.5.17 東京都清瀬市
『枕草子』に「かならず五月五日にあふもをかし(毎年必ず五月五日(端午の節句)には咲いているのを見ることになるのも面白い)」とあるのは開花期についての記事です。陰暦五月五日は現在の暦の六月二日あたりですから、たしかに、ちょうど今くらいの時期になります。花の名が「あふち」であるところから、ここは「合ふ」と掛けた表現なのでしょう。
栴檀 26.5.17 東京都清瀬市
緑の風の中をゆくと、
26.5.17 東京都清瀬市
“ ネエ ネエ ”
呼ぶ声がするので、茅萱(ちがや)の原を見渡して見ると
“ ココ ダヨー ”
“ ココ ダヨー ”
ボン子ちゃん!
あい変わらず、親譲りで眼差しだけは鋭いボン子ちゃん
気立ては穏やかで人なつこい散歩猫です
“ オーイ オーイ ”
何かおもしろいものが そこにあるのでしょう、
いつものようには走って来ず、遠くにいるまま声を掛けて来ます
いっぱい遊んでねー
“ ウン ワカッター ウコッケイ ナンカ ネラッテナイカラネー ”
ええっ(聞き間違えたかな)
26.5.18 東京都清瀬市
ひと遊びして、ボン子ちゃんが釣り堀のお家に帰るのはいつ頃になるのでしょう。
気持ちの好い陽気になって、日も長くなりましたが、きっと暗くなるまで
ボン子ちゃんは外でワクワク遊びつづけるのでしょう。