お使い狐 たぬきつねこ
23.4.29 東京都清瀬市
緑が萌える季節になった、とある日の朝、散歩の途中で出会った顔なじみの縞ネコさんのあとについて、知らない道を行くと、
野原を抜けて、遅い八重桜を見ながら、ゆるい坂道を登り、小さな祠の傍に着きました。
下組八幡稲荷神社 23.4.24 埼玉県所沢市
そこは狛犬の位置にお使い狐が控えるお稲荷様。人気(ひとけ)もない山坂道のふもと、大きな八重桜の木の陰にこじんまりしたお社だけがある稲荷社でした。
咥えているのは宝玉です
今日ではお商売の守り神のような印象を受けるお稲荷様ですが、もとは穀物と農耕の守護神です。御社は東日本、特に多摩地区には多かったといわれます。明治の神仏習合期に小さいものは統廃合されて、昔のままの数ではないようですが。
傍に立っている由緒書きに拠れば、このお社の歴史も古く、その本は平安時代まで遡るといいます。このお社もやはり神仏習合の時期をくぐって明治時代の初めにこの位置に移されて、以来ひっそりとここで土地の農業を見守って来られたのでしょう。
八重桜 23.5.1 埼玉県所沢市
僅かに木の葉をゆらす風の音が聞こえます。しんとした桜の木の下で、お使い狐を見ている間に、気がつくと縞ネコさんはいなくなっていました。
その帰り道、稲荷社に近いお家の庭先に
"ナニカ ? "
おキツネさま風に妖艶な三毛ちゃんです
すてきなデカ食器で豪快にお食事中でした
"オ揚ゲ ヲ 持ッテマイレー"
なんて言っていません、多分
稲荷社の方にヒラヒラと走って行きました
23.5.1 埼玉県所沢市
お昼近くになって家に帰り着き、猫に引かれてお稲荷参り をしてきたことを、
我が家のふたりに早速報告。
"キツネ三毛チャン ダッタノ? "
"ウチニモ タヌキ ガ イルヨ アソコ... "
"オイナリサン ダッテ? "
そういえば、このごろタヌキチ君は来ないね
"ネムイカラ アトデネ "
散歩に出かけると、家の中でぬくぬく暮らす猫には絶対ない迫力を感じる猫に遇うことがあります。