墨場必携:漢詩 漢文
22.10.6 東京都清瀬市
宿建徳江[けんとくこうにやどる] 孟浩然
移舟泊烟渚
日暮客愁新
野曠天低樹
江清月近人
舟を移して烟渚に泊せば、
日暮れて客愁新たなり。
野は曠く天[そら]樹に低[た]れ、
江は清く月人に近し。
古朗月行[こらうげつかう]抜粋 李白 盛唐
小時不識月
呼作白玉盤
又疑瑤台鏡
飛在碧雲端
小時(せうじ)月を識(し)らず、
呼んで白玉(はくぎよく)の盤と作(な)す。
又た疑ふ瑤台(えうだい)の鏡の、
飛んで碧雲(へきうん)の端に在るかと。
22.10.3 埼玉県所沢市
江楼書感[こうろうにてかんあり] 趙嘏 晩唐
独上江楼思渺然
月光如水水連天
同来翫月人何處
風景依稀似去年
独り江楼に上りて思ひ渺然、
月光水の如く、水天に連る。
同じく来りて月を翫ぶの人何れの処ぞ、
風景依稀[いき]として去年に似たり。
清夜吟[せいやのぎん] 邵雍 北宋
月到天心処
風来水面時
一般清意味
料得少人知
月天心に到る処[ところ]
風水面に来たる時
一般清意味[いっぱんせいいみ]
料[はか]り得たり人の知ること少[まれ]なるを
22.10.6 東京都清瀬市
旅懐[りよかい] 杜荀鶴 晩唐
月華星彩坐来収
嶽色江声暗結愁
半夜燈前十年事
一時和雨到心頭
月華[げつくわ]星彩[せいさい]坐来[ざらい]収まる
嶽色[がくしよく]江声[かうせい]暗に愁ひを結ぶ
半夜[はんや]燈前[とうぜん]十年の事
一時雨に和して心頭に到る
22.9.7 東京都清瀬市
江月[かうげつ] 亀田鵬斎 江戸
満江明月満天秋
一色江天万里流
半夜酒醒人不見
霜風蕭瑟荻蘆洲
満江[まんかう]の明月満天の秋
一色の江天[かうてん]万里[ばんり]の流[ながれ]
半夜[はんや]酒醒め人見えず
霜風[さうふう]蕭瑟[せうしつ]たり荻蘆[てきろ]の洲[しう]
蕭瑟:秋風の吹くさま。もの淋しい音の形容に用いられる表現
荻蘆:おぎとあし
22.10.11 東京都清瀬市
【文例】 和歌