2009年7月 1日

墨場必携:漢詩 

20薔薇1.jpg                            20.6.30 東京都清瀬市

 懐旧   菅三品

   金谷酔花之地
   花毎春匂而主不帰
   南楼嘲月之人
   月与秋期而身何去

  金谷[きんこく]に花に酔[ゑ]うし地、
  花春[毎]ごとに匂[にほ]ふて主帰らず。
  南楼[なんろう]に月を玩[あざけ]つし人、
  月秋と期[ご]して身[み]何[いづ]ちにか去[い]んじ
  知る他は是れ胡蝶なるを。

  金谷園は石季倫が花を植えた所、
  その花は来る春ごとに咲き匂うけれど、花を植えた主人は帰ってこない。
  かの庾亮は南楼に登って月を愛でた、
  月は秋と約して、秋が来れば清い光を放つけれど、
          それを愛したあの人はどこへ行ってしまったのだろう。  

※「為謙徳公報恩修善願文(謙徳公の為に報恩修善の願文) 菅三品」として
  『本朝文選』収録
※金谷酔花之地:『晋書』石崇(=石季倫)伝。
        石崇は河陽の別荘に百木万株の花園を営み、花見の詩宴を催した
        とある。
※南楼嘲月之人:『晋書』庾亮伝。秋夜南楼に登っては月を愛でたとある。

tsuki .JPG                            20.10.16 東京都清瀬市

【文例】 和歌

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