墨場必携:和歌
桃にメジロ 21.3.9 東京都清瀬市
春の歌
我がやどの杜[もり]の木の間に百千鳥[ももちどり]
きなく(来鳴く)春べは心のどけき
田安宗武『天降言』
桃にホホジロ 21.3.19 東京都清瀬市
限[かぎり]なき雲ゐのよそにわかるとも
人を心に後[おく]らさむやは
『古今和歌集』367 よみ人知らず
雲居[くもゐ]にもかよふ心のおくれねば
別かると人に見ゆばかりなり
『古今和歌集』368 清原深養父
白木蓮 21.3.18 東京都清瀬市
別かるれどかげをばそへつますかがみ
としつき経[ふ]ともおもひ忘るな
『続古今和歌集』853 恵慶
をちこちの苗代水[なはしろみづ]にせきかけて
春行く川は末[すゑ]ぞ別かるる
『続拾遺和歌集』134 光俊
忘るなよ流れの末[すゑ]は別るとも
ひとつみやま(一つ深山)の谷川の水[みづ]
『新後撰和歌集』1358 蓬生
別かるべき道やはつらき
おほかたの世の中ばかりうきものはなし
『新千載和歌集』739 道済
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