墨場必携:唱歌 童謡
霜を踏むアオジ 22.1.7 東京都清瀬市
ペチカ 北原白秋
雪のふる夜は たのしいペチカ
ペチカ燃えろよ お話しましょ
むかしむかしよ
燃えろよ ペチカ
雪のふる夜は たのしいペチカ
ペチカ燃えろよ おもては寒い
栗や栗やと
呼びます ペチカ
雪のふる夜は たのしいペチカ
ペチカ燃えろよ じき春来ます
いまに楊も
萌えましょ ペチカ
雪のふる夜は たのしいペチカ
ペチカ燃えろよ 誰だか来ます
お客さまでしょ
うれしい ペチカ
雪のふる夜は たのしいペチカ
ペチカ燃えろよ お話しましょ
火の粉ぱちぱち
はねろよ ペチカ
コゲラ 22.1.13 東京都清瀬市
吹雪の晩 北原白秋
吹雪の晩です。夜ふけです。
どこかで夜鴨が啼いてます。
灯[あかり]もチラチラ見えてます。
私は見てます。待ってます。
何だかそわそわ待たれます。
内[うち]では時計も鳴ってます。
鈴です。鳴ります。きこえます。
あれあれ、橇[そり]です。もう来ます。
いえいえ、風です。吹雪です。
それでも見てます。待ってます。
何かが来るよな気がします。
遠くで夜鴨が啼いてます。
『赤い鳥』大正10年
雪の手紙 西条八十
さらさらさらと
巻いてゆく
雪の手紙の
長いこと
夜更けの窓の
玻璃[がらす]ごし
甜菜[あまな]畠も
丘の木も
星もかくして
白々と
家のまわりを
巻いてゆく
冬空 柴野民三
昼間の風に
飛ばされて、
空には雲の
ない寒さ。
煙すかして
光る月、
汽車は汽笛を
鳴らしてく。
『赤い鳥』昭和3年
21.11.3 東京都清瀬市
冬の夜 文部省唱歌
1 燈火[ともしび]近く衣[きぬ]縫ふ母は
春の遊びの、楽しさ語る。
居並ぶ子どもは指を折りつつ
日数[ひかず]かぞへて喜び勇む
囲炉裏火[ゐろりび]はとろとろ 外は吹雪[ふぶき」
2 囲炉裏のはたで縄なふ父は
過ぎしいくさの手柄を語る
居並ぶ子どもはねむさ忘れて
耳を傾けこぶしを握る
囲炉裏火はとろとろ 外は吹雪
『尋常小学唱歌(三)』明治45年
オ散歩ニ 来マシタ