墨場必携:和歌
22.1.22 東京都清瀬市
山河は はやく氷[こほり]やとぢぬらむ
里わの水に鴨ぞ群れゐる
『うけらが花』橘千蔭
春かけてかれず(=途絶えることなく)かたらへ
初雪に跡つけそむる庭[には]の鶯[うぐひす]
『うけらが花』橘千蔭
見わたせば降りつむ雪を
有明の月にみがける多摩の横山
『うけらが花』橘千蔭
出づる日の光にむかふ武蔵嶺[むさしね]や
をみねことごと雪ぞさやけさ
『うけらが花』橘千蔭
※末句「雪ぞさやけさ」不審。あるいは誤写あるか。
係り結びを成立させるなら「雪ぞさやけき」が適当。
東屋[あづまや]の軒の垂氷[たるひ=つらら]にうつろへる
光も寒きあかほしの影
『うけらが花』橘千蔭
※「あかほし」は明けの明星、金星のこと。
暁方の空にはっきり見えることから古代より歌に詠まれる。
「あかほしの」は枕詞にもなって「明け」に懸かる。
霜のうへに冬木のかげをうす黒く
うつしてふくる庭中の月
『志濃夫廼舎家集』橘曙美
月かげをこほりの上にはしらせて
沈みにしづむ夜半[よは]の川音[かはおと]
『志濃夫廼舎家集』橘曙美
オ散歩ニ 来マシタ
【文例】 訳詩・近現代詩