2009年10月 2日

墨場必携:訳詩 近現代詩 与謝野晶子

         
24宇宙2.jpg                                            22.9.24 埼玉県所沢市

  コスモス(壺の花「小曲十五章」より)   与謝野晶子

   一本のコスモスが笑つてゐる。
   その上に、どつしりと
   太陽が腰を掛けてゐる。
   そして、きやしやなコスモスの花が
   なぜか、少しも撓(たわ)まない、
   その太陽の重味に。



  コスモスの花    与謝野晶子

   少し冷たく、匂[にほ]はしく、
   清く、はかなく、たよたよと、
   コスモスの花、高く咲く。
   秋の心を知る花か、
   うすももいろに高く咲く。

        
17宇宙3.jpg                                            22.9.17 埼玉県所沢市


  晩秋の草    与謝野晶子

   野の秋更けて、露霜[つゆしも]に
   打たるるものの哀れさよ。
   いよいよ赤む蓼[たで]の茎、
   黒き実まじるコスモスの花、
   さてはまた雑草のうら枯れて
   斑[まだら]を作る黄と緑。


         
20宇宙ゆみ0.jpg                                            22.9.20 埼玉県所沢市


  無題      与謝野晶子
 
   うす紫と、淡紅色(ときいろ)と、
   白と、萠黄と、海老色と、
   夢の境で見るやうな
   はかない色がゆらゆらと
   わたしの前で入りまじる。
   女だてらに酔ひどれて、
   月の明りにしどけなく
   乱れて踊る一むれか。
   わたしの窓の硝子[がらす]ごし
   風が吹く、吹く、コスモスを。

          
お散歩偽ひた.jpg           オ散歩ニ 来マシタ
                 ひたちに似た散歩猫です。
                 とぼけた表情で 今日もごきげんよろしく。




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