墨場必携:唱歌 童謡
21.4.29 東京都清瀬市
茶摘み
夏も近づく八十八夜
野にも山にも若葉が茂る
あれに見えるは
茶摘みぢやないか
あかねだすきに菅[すげ]の笠
日和[ひより]つづきの今日此の頃を、
心のどかに摘みつつ歌ふ
摘めよ 摘め摘め
摘まねばならぬ
摘まにや日本の茶にならぬ
『尋常小学唱歌』(明治45年)
21.4.22 東京都清瀬市
青葉茂れる桜井の(旧題 湊川) 落合直文
青葉茂れる桜井の
里のわたりの夕まぐれ
木[こ]の下陰[したかげ]に駒[こま]とめて
世の行く末[すゑ]をつくづくと
忍ぶ鎧)の袖の上[へ]に
散るは涙か はた露か
正成[まさし])涙を打ち払い
我子正行[まさつら]呼び寄せて
父は兵庫へ赴かん
彼方[かなた]の浦にて討死[うちじに]せん
いましはここまで来つれども
とくとく帰れ故郷[ふるさと]へ
父上いかにのたまふも
見捨てまつりてわれ一人
いかで帰らん帰られん
この正行は年こそは
未[いま]だ若けれ諸共[もろとも]に
御供[おんとも]仕へん死出の旅
いましをここより帰さんは
わが私[わたくし]の為ならず
己れ討死為さんには
世は尊氏[たかうじ]の儘[まま]ならん
早く生い立ち大君に
仕えまつれよ国の為め
この一刀[ひとふり]は往[い]にし年
君の賜ひし物なるぞ
この世の別れの形見にと
いましにこれを贈りてん
行けよ正行故郷へ
老いたる母の待ちまさん
共に見送り見返りて
別れを惜しむ折りからに
復[また]も降り来る五月雨[さみだれ]の
空に聞こゆる時鳥[ほととぎす]
誰れか哀[あはれ]と聞かざらん
あはれ血に泣くその声を
(明治32年)
コサギ 21.4.30 東京都清瀬市
茶摘み
夏も近づく八十八夜
野にも山にも若葉が茂る
あれに見えるは
茶摘みぢやないか
あかねだすきに菅[すげ]の笠
日和[ひより]つづきの今日此の頃を、
心のどかに摘みつつ歌ふ
摘めよ 摘め摘め
摘まねばならぬ
摘まにや日本の茶にならぬ
『尋常小学唱歌』(明治45年)
21.4.22 東京都清瀬市
青葉茂れる桜井の(旧題 湊川) 落合直文
青葉茂れる桜井の
里のわたりの夕まぐれ
木[こ]の下陰[したかげ]に駒[こま]とめて
世の行く末[すゑ]をつくづくと
忍ぶ鎧)の袖の上[へ]に
散るは涙か はた露か
正成[まさし])涙を打ち払い
我子正行[まさつら]呼び寄せて
父は兵庫へ赴かん
彼方[かなた]の浦にて討死[うちじに]せん
いましはここまで来つれども
とくとく帰れ故郷[ふるさと]へ
父上いかにのたまふも
見捨てまつりてわれ一人
いかで帰らん帰られん
この正行は年こそは
未[いま]だ若けれ諸共[もろとも]に
御供[おんとも]仕へん死出の旅
いましをここより帰さんは
わが私[わたくし]の為ならず
己れ討死為さんには
世は尊氏[たかうじ]の儘[まま]ならん
早く生い立ち大君に
仕えまつれよ国の為め
この一刀[ひとふり]は往[い]にし年
君の賜ひし物なるぞ
この世の別れの形見にと
いましにこれを贈りてん
行けよ正行故郷へ
老いたる母の待ちまさん
共に見送り見返りて
別れを惜しむ折りからに
復[また]も降り来る五月雨[さみだれ]の
空に聞こゆる時鳥[ほととぎす]
誰れか哀[あはれ]と聞かざらん
あはれ血に泣くその声を
(明治32年)
コサギ 21.4.30 東京都清瀬市