2009年11月 4日

墨場必携:和歌   斎宮女御『拾遺和歌集』451

3susuki 2.jpg                                           21.11.3 東京都清瀬市

  野宮に斎宮の庚申し侍りけるに、松風入夜琴(松風夜の琴に入る)と
  いふ題を詠み侍りける
  
    琴の音に峰の松風通ふらし
    いづれのをより調べそめけむ
                     斎宮女御『拾遺和歌集』451

  初秋風
   天乙女[あまをとめ]引くや玉琴
   秋風のしらべぞかよふ とほ山の松
                     正徹『草根集』3226

  秋琴
   かきならすことのをかけて秋風の
   しらべぞ松にうれへ初めぬる
                     正徹『草根集』3824

          
11tsuki .jpg                                           20.10.11 東京都清瀬市                    
 

  すむ月にすみのぼる夜の琴のねは
  かくれしやどもかくれなきまで
                     本居宣長
       「小督(『平家物語』)」(狩野遥信画)に添えた歌

 《参考》
  「黒田節」     民謡

  峰の嵐か松風か 尋ぬる人の琴の音か
  駒をひかえて聞くほどに 爪音しるき想夫恋[さうふれん]
 ※これも『平家物語』の小督(こごう)の物語に基づく。

         
みや琴.jpg                     

  琴とりし夜 庭の虫の音いとおもしろかりければ

   かりごもの みだれやさしき琴の音を
   たえてやきかむよはの虫のね

   秋の夜のあはれやつきぬ
   ことのねのたゆれどたえぬ虫の声かな
                     比田井小琴『をごとのちり』

         
24紅葉.jpg                                           21.10.24 東京都清瀬市


【文例】 近現代詩

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