墨場必携:漢詩 漢文
21.6.1 東京都清瀬市
「敕賜百官桜桃(勅して百官に桜桃を賜ふ)」 王維
芙蓉闕下会千官
紫禁朱桜出上蘭
総是寝園春薦後
非関御苑鳥銜残
帰鞍競帯青絲籠
中使頻傾赤玉盤
飽食不須愁内熱
大官還有蔗獎寒
芙蓉闕下[けつか]千官を会[くわい]し、
紫禁の朱桜 上蘭に出づ。
総[すべ]て是れ 寝園[しんえん]に春薦[しゆんせん]の後、
御苑に鳥の銜[ふく]みて残すに関はるにあらず。
帰鞍[きあん]競ひて帯ぶ 青絲の籠、
中使[ちゆうし]頻りに傾く 赤玉の盤。
飽食するも内熱を愁ふるを須[もちゐ]ず、
大官還[ま]た蔗獎[しよしやう]の寒き有り。
芙蓉闕の下に大勢の官僚を集めて、
天子のおはす宮城から賜る朱色の桜桃は上蘭観からもたらされたもの。
これらはみな祖廟に春のお供えとして捧げられた果実、
御苑で鳥がついばんだ残りではない。
退出する役人の馬にはきそって青糸で飾った籠が付けられており、
近習の役人はしきりに赤玉の皿を傾けて桜桃の実を分けている。
食べ過ぎても熱を出す心配はない、
熱をくだすというひんやりした砂糖水が添えられているのだから。
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