墨場必携:訳詩 近現代詩
ルリビタキ 22.1.1 東京都清瀬市
青い小鳥 川路柳虹
青い小鳥はどこへゆく、
青い小鳥はとんでゆく。
小鳥のいない籠を手に、
チルチル、ミチル、どこへ行く。
おもひでの国、夜の国、
そとは小雪もふりしきる。
花の匂ひのする窓で
青い小鳥はないていやう。
鷺の歌 エミイル・ヹルハアレン
ほのぐらき黄金隠沼[こがねかくれぬ]、
骨蓬の白くさけるに、
静かなる鷺の羽風は
徐[おもむ]ろに影を落しぬ。
水の面[おも]に影は漂ひ、
広ごりて、ころもに似たり。
天なるや、鳥の通路[かよひぢ]、
羽ばたきの音もたえだえ。
漁子[あま]のいと賢[さか]しらに
清らなる網をうてども、
空翔る奇[く]しき翼の
おとなひをゆめだにしらず。
また知らず、日に夜をつぎて
溝のうち花瓶の底
鬱憂の網に待つもの
久方の光に飛ぶを。
『海潮音』
コサギ 22.1.4 東京都清瀬市
八木重吉
寒い日だ
山茶花のおおきな木が
いっぱい花をつけている
美しく気を張っているらしい
【文例】 唱歌・童謡