墨場必携:散文 あふち
桐の花 21.5.3 東京都清瀬市
桐
木の花は 桐の木の花、むらさきに咲きたるはなほをかしきにを
葉のひろごりざまぞ、うたてこちたけれど、こと木どもとひとしう
いふべきにもあらず。もろこしにことごとしき名つきたる鳥の、
えりてこれにのみゐるらん、いみじう心ことなり。まいて琴に作り
て、さまざまなる音のいでくるなどは、をかしなど世のつねにいふ
べくやはある、いみじうこそめでたけれ。
※紫に咲く花はひとり清少納言だけではなく平安貴族好み。
もろこしにことごとしき名つきたる鳥:鳳凰のこと。
桐の木を好んでそこに止まるという。
桐の木は琴の材となることを挙げ、並みのすばらしさではないと
讃えている。
『枕草子』37段「木の花は」(清少納言)
楝(あふち:栴檀)
木のさまにくげなれど、楝(あふち)の花いとをかし。かれがれに
さまことに咲きて、かならず五月五日にあふもをかし。
※楝の花は細かく細い五弁花で、見た目にみずみずしくはない。
「かれがれ」はそれを言うものか、不詳。
陰暦五月五日は現行暦の六月上旬になる。毎年必ず五月五日端午の
節句に咲き遇うのがおもしろいとしている。「あふち」の「あふ」
と掛けた表現であろう。
『枕草子』37段「木の花は」(清少納言)
オ散歩ニ 来マシタ
桐
木の花は 桐の木の花、むらさきに咲きたるはなほをかしきにを
葉のひろごりざまぞ、うたてこちたけれど、こと木どもとひとしう
いふべきにもあらず。もろこしにことごとしき名つきたる鳥の、
えりてこれにのみゐるらん、いみじう心ことなり。まいて琴に作り
て、さまざまなる音のいでくるなどは、をかしなど世のつねにいふ
べくやはある、いみじうこそめでたけれ。
※紫に咲く花はひとり清少納言だけではなく平安貴族好み。
もろこしにことごとしき名つきたる鳥:鳳凰のこと。
桐の木を好んでそこに止まるという。
桐の木は琴の材となることを挙げ、並みのすばらしさではないと
讃えている。
『枕草子』37段「木の花は」(清少納言)
楝(あふち:栴檀)
木のさまにくげなれど、楝(あふち)の花いとをかし。かれがれに
さまことに咲きて、かならず五月五日にあふもをかし。
※楝の花は細かく細い五弁花で、見た目にみずみずしくはない。
「かれがれ」はそれを言うものか、不詳。
陰暦五月五日は現行暦の六月上旬になる。毎年必ず五月五日端午の
節句に咲き遇うのがおもしろいとしている。「あふち」の「あふ」
と掛けた表現であろう。
『枕草子』37段「木の花は」(清少納言)
オ散歩ニ 来マシタ
【文例】 訳詩・近現代詩へ