墨場必携:和歌 万葉集 持統天皇
21.9.20 東京都清瀬市
北山につらなる雲の青雲[あをぐも]の
星離[さか]りゆき月も離[さか]りて
『万葉集』161 持統天皇
さ夜中と夜[よ]は更けぬらし
雁が音[ね]の聞ゆる空[そら]に月わたる見ゆ
『万葉集』1701 柿本人麿歌集
ひさかたの天[あま]つみ空に照れる日の
失せなむ日こそ吾が恋[こひ]止[や]まめ
『万葉集』3004 作者不詳
21.9.20 東京都清瀬市
あまつ星そらにはいかがさだむらむ
思ひたゆべきけふの暮れかは
「玉葉」1634 太皇太后宮小侍従
くらき夜の山まつ風はさわげとも
こずゑのそらに星ぞのどけき
永福門院
夜泉
星の影うごくをみれば
真清水のわくはみぎはの岩間なりけり
阪正臣「樅屋詠草」『樅屋全集』三
片ぞらに雲はあつまり片空に月冴ゆ
野分地にながれたり
若山牧水「海の声」
野分すぎ労れし空の静けさに
心凪ぎゐぬ別れし日ごろ
若山牧水「海の声」
秋晴や空にはたえず遠白き
雲の生れて風ある日なり
若山牧水「海の声」
21.9.17 埼玉県所沢市
執着も煩悩[ぼんなう]もなき世ならばと
晴れわたる空の星にこと問ふ
九条武子『白孔雀』
まざまざとうつつのわれに立ちかへり
命いとしむ青空のもと
九条武子『白孔雀』
星満つる今宵の空の深緑
あさなる星に深さ知られず
窪田空穂『鏡葉』
人中にふとふり仰げば星ぞらにて
秋の夜祭り安くたのしも
木下利玄『太秦の牛祭』
地球はめぐりけらしも起きて見れば
澄みつかれたる星々の光
木下利玄『富士山へ上る』
【文例】 訳詩・近現代詩へ