墨場必携:漢詩 漢文
21.11.15 東京都清瀬市
落葉 青渓小姑
日暮風吹
落葉依枝
寸心丹意
愁君未知
日暮れ 風吹き
落葉 枝に依る
寸心丹意
君の未だ知らざるを愁ふ
※四言古詩
日が暮れ 風が吹き
落葉がはらはら舞い落ちる中に
枝にすがって堪えている紅い葉がある。
それはまるで小さな胸の中で
燃えて堪えている恋心のようだけれど、
かなしいことに、
あなたにはまだこの思いが通じてはいないのだ。
21.11.4 東京都清瀬市
山行[さんこう] 杜牧
遠上寒山石徑斜
白雲生處有人家
停車坐愛楓林晩
霜葉紅於二月花
遠く寒山に上れば石徑[せきけい]斜めなり
白雲生ずる所人家[じんか]有り
車を停[とど]めて坐[そぞ]ろ愛す楓林の晩[く]れ
霜葉は二月の花よりも紅[くれなゐ]なり
※二月花:桃の花を想定する
紅於:この詩から「楓」「紅葉」の意味に用いられるようになった。
初冬『和漢朗詠集』352 白楽天
十月江南天気好
可憐冬景似春華
十月[じふぐゑつ]江南[かうなん]天気[てんき]好[ことむな]し。
憐[あは]れむべし冬の景[かげ]の
春に似て華[うるは]しきことを。
十月の江南は小春日和の良い天気です。
冬の陽光は春に似て、明るい華やかさがなんとも好ましいのです。
※陰暦十月は冬の初め。現行暦に重ねると、十一月初旬からのひと月にあたる。
※「好」を「ことむなし」と訓むのは「こともなし」からの慣用訓み。
21.11.4 東京都清瀬市
【文例】 和歌へ