墨場必携:漢詩 漢文 春 春興
桜花桃の春景色 22.3.30 東京都清瀬市
山桃復野桃 日曝紅錦之幅
門柳復岸柳 風宛麹塵之糸
「逐処花皆好」 紀斉名
山桃[さんたう]また野桃[やたう]、
日紅錦[こうきん]の幅[はたばり]を曝[さら]す。
門柳[もんりう]また岸柳[がんりう]、
風麹塵[きくぢん]の糸を宛[わが]ぬ。
「処[ところ]に逐[したが]つて花皆好し」(の序)
※幅[はたばり]:織物を干すために枠に張ったもの。またその干し方。
ここでは、花々が敷き詰められたように咲くさまを、
美麗な織物を広く広げた様子に譬えている。
宛[わが]ぬ:ワガヌ(ナ行下二段動詞)は、長いものを撓(たわ)め曲げる
(=輪にする)意味。『類聚名義抄』に「宛 ワガヌ」。
野の桃、山の桃、野山に咲き満ちた桃の花は、紅の錦の織物を広げて日に曝して
いるようです。
河口の柳、川岸の柳、いずれの柳も枝々はしなやかに緑の枝を垂れ、風にゆれる
さまは麹塵の文様を織るために浅緑色の糸をたわめているようです。
しだれ桜 22.3.30 東京都清瀬市
林中花錦時開落
天外遊糸或有無
「上寺聖聚楽」田達音(島田忠臣)
林中[りんちう]の花の錦は時に開くもあり落つるもあり。
天外[てんぐわい]の遊糸[いうし]は
或[あるい]は有りとやせん無しとやせん。
花の咲き満ちた林の中、錦のような花々も、今開くものもあれば、
散るものもあります。
大空を漂う糸遊は、見えたかと思えば消え、有るのか無いのか定めかねる
あえかなさまです。
御近所のシロウ君
" オ家ガ 好キナノデ アンマリ 遠クニ 行キマセン。
オ家ノ 近クノ 公園デ オ花見スルカラ イイノ。
オ祭リノ日ニ ソノ公園デ ヒタチ君ト 間違ワレマシタ
ボクノ家ノ オジイチャン ニ ..."