2009年9月15日

墨場必携:漢詩 漢文


5夜明け.jpg                                         夜明け 21.9.5 東京都清瀬市
  静夜吟    邵雍

   月到天心處
   風来水面時
   一般清意味
   料得少人知

  月天心[てんしん]に到る処[ところ]
  風水面に来たる時
  一般[いつぱん]清意[せいい]の味[あじはひ]
  料[はか]り得たり人の知ること少[まれ]なるを

  月は天の中心にかかり、
  風は一陣水面を吹き払う。
  このすべてさわやかな味わいよ。
  これを知る人はまれである。
  


         
14島.jpg                                           21.9.14 東京都清瀬市

  涼夜[りやうや]   高啓

   一声遠笛数声砧
   月満江城夜正深
   占拠胡牀愛涼夜
   空階移盡桂花陰

  一声の遠笛[えんてき]数声の砧[きぬた]。
  月江城に満ち、夜は正に深し。
  胡牀[こしやう]を占拠して涼夜を愛す。
  空階[くうかい]移り盡[つ]く桂花[けいか]の陰。

  一ふしの笛の音が遠くから響き、あちらこちらから砧を打つ音がする。
  川に面した町に月光が満ちる、折しも真夜中。
  腰掛けを独り占めしてこの涼しい夜を楽しんでいると、
  人気のない階(きざはし)を桂花(もくせい)の陰が移り過ぎてゆく。

          28お話.jpg                                   雀と翡翠のお話し 21.8.28 東京都清瀬市

  秋夜月     劉基

   秋夜月 黄金波
   照人哭 照人歌
   人歌人哭月長好
   月缼月圓人自老

  秋夜の月、黄金の波、
  人の哭[こく]するを照らし、人の歌ふを照らす。
  人歌ひ、人哭し、月長[とこしへ]に好し、
  月欠け、月円かに、人自づから老ゆ。

  秋の夜の月、黄金の波と地に注ぎ、
  哭(な)く人を照らし、歌う人を照らす。
  この世には歌う人あり、哭く人あり、月は永久(とわ)に変わらず美しい光を注ぎ、
  月が欠け、また月が満ちるうちに、人は老いてゆく。

28お話2.jpg                              雀と翡翠のお話しが済んだ 21.8.28 東京都瀬市

文例和歌

同じカテゴリの記事一覧