2009年6月15日

墨場必携:漢詩

          3cyoucyo.jpg                       ツバメシジミ 21.6.3 東京都清瀬市

 蝶   菅茶山

   衝風触花樹
   花落撲吟榻
   一片忽還枝
   知他是胡蝶

  風を衝[つ]きて花樹に触れ、
  花落ちて吟榻[ぎんたふ]を撲[う]つ。
  一片忽[たちま]ち枝に還りしは、
  知る他は是れ胡蝶なるを。

  風に逆らって花にとまり、
  花が落ちて長椅子を打つ。
  その一片がたちまち枝に還っていったのは、
  あれは、そう蝶々なのだ。

          1kamo1.jpg                             21.6.1 東京都清瀬市

 夏昼   大窪詩佛

   貪睡鳧雛猶傍母
   学飛燕子已離巣
   湘簾半捲閑窗午
   臥見微風度竹梢

  睡りを貪る鳧雛[ふすう]は猶ほ母に傍[そ]ひ
  飛ぶを学びし燕子[えんし]は已[すで]に巣を離る。
  湘簾[しようれん]半ば捲く閑窗[かんそう]の午[ひる]、
  臥して見る微風の竹梢[ちくしよう]を度るを。

  眠りこけた鳧[かも]の雛は母鳥に寄り添ったまま、
  飛び方を学んだ燕の子はもう巣立ちした。
  簾を半ば捲き上げる午さがりの窓辺、
  横になってそよ風が竹の梢を吹き渡るのを見ている。

          kamo4.jpg                               21.6.2 東京都清瀬市

 初夏園中即事   菊池三渓

   梅時喜雨只蝸牛
   欲上芭蕉不自由
   高處元非置身地
   移家徐下竹籬頭

  梅時[ばいじ]雨を喜ぶは只[た]だ蝸牛、
  芭蕉に上らんと欲するも自由ならず。
  高處は元より身を置くの地に非ず、
  移家を移して徐[おもむろ]に下る竹籬[ちくり]の頭[ほとり]に。

  梅雨時に雨を喜ぶのは蝸牛だけ、
  芭蕉の葉に上ろうとするが思うようにゆかない。
  高い處はもともと身を置くのによい場所ではないので、
  ゆっくりと家を竹の籬のほとりに移している。

          14aji3.jpg                             21.6.14 東京都清瀬市

【文例】 和歌

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