2009年4月 1日

墨場必携:唱歌・童謡



30sakrn1.jpg                                    山桜にメジロ 21.3.30 東京都清瀬市

  さいた桜   日本古謡 作詞者未詳

    咲いたさくら
    花見て戻る 吉野はさくら
    竜田はもみぢ 唐崎の松
    ときは ときは 深緑

 ※現在知られる「さくら」の元歌。江戸末まではこの詞で歌われた。

  さくら

    さくら さくら
    弥生[やよひ]の空は 見わたすかぎり
    霞か雲か にほひぞ出づる
    いざや いざや 見にゆかん
              『箏曲集』(明治21年)

 ※上記「さくら」を明治21年刊行された『箏曲集』編者が改訂したかと
  推定される。オペラ「蝶々夫人」(プッチーニ)の第1幕にこの形で
  取り上げられており、今日世界的に知られる日本の童謡のひとつ。

  さくら    

    さくら さくら
    野山も里も 見わたす限り
    かすみか雲か 朝日ににほふ
    さくら さくら 花ざかり
               『うたのほん 下』(昭和16年)

 ※『箏曲集』の歌詞を昭和16年に文部省が改訂。

     
30skrn2.jpg                                        吉野桜 21.3.30 東京都清瀬市

 昼   林古渓

   歌につかれ 文[ふみ]に倦みて
   携[たづさ]へ行くや 春の野
   小川[をがは]の根芹 おしわけ逃ぐる
   小鮒の腹 白く光る

   霞む空に 名告る雲雀[ひばり]
   しばしは憩へ 堤に
   つくしは誇り 菫[すみれ]うつぶす
   小草[をぐさ]しきて 汝[なれ]も臥せや 

      
28kwsm.jpg                                 翡翠の求愛 21.3.28 東京都清瀬市柳瀬川   


 春風の歌    茅野雅子

   春が来そめた夕暮れに、
   私は森をとび出して、
   小さいランプを持ちながら、
   星の火盞[ひざら]に火を点[とも]す。
   そよ。

   春が来そめた夕暮れに、
   私が森をうごかせば、
   まあるいまあるい月が出る、
   月は私のお友達
   そよ。そよ。

   春が来そめた夕暮れに、
   私が森で笛ふけば、
   甘く、かすかに、やはらかに、
   子供は床[とこ]に寝にはいる
   そよ。そよ。

   そこで私は昨夜[ゆふべ]じゆう、
   月とふたりで考えた、
   お伽話[とぎばなし]に似た夢を、
   子供の上にまきちらす、
   そよ。そよ。そよ。
          『金の船』(大正9年)

     
27kws2.jpg                                         翡翠 21.3.27 東京都清瀬市
     
27ben.jpg                                      紅枝垂桜 21.3.27 東京都清瀬市
    
hanami.jpg                             お花見に来ました 21.3.31 東京都清瀬市金山緑地公園

【文例】 みや・ひたち

同じカテゴリの記事一覧