墨場必携:漢詩 新涼讀書
24.9.20 東京都清瀬市
新涼讀書(しんりやうどくしよ)
菊池三渓(きくち さんけい)
秋動梧桐葉落初
新涼早已到郊墟
半簾斜月清於水
絡緯聲中夜讀書
秋は梧桐(ごとう)を動かし 葉落ちし初(はじめ)
新涼(しんりやう)早(つと)に 已(すで)に郊墟(かうきよ)に到る
半簾(はんれん)の斜月(しやげつ) 水よりも清く
絡緯(らくゐ)声中(せいちゆう) 夜書を読む
24.9.15 東京都清瀬市
秋の気配が訪れて、梧桐も葉が散りはじめ、
初の涼しさは早くも野や丘にやって来た。
半ば捲き上げた簾の間から斜めに射し込む月の光は水よりも清らかで、
絡緯(くだまき)の声を聴きながら、書物を読んでいる。
24.9.9 東京都清瀬市
梧桐:アオギリ科の落葉高木。
郊墟:野や丘、いなか。
半簾:簾が完全には捲き上げられていない、半分下がった状態。
絡緯:キリギリスよりやや小さい虫。くだまき。