墨場必携:漢詩 敕勒歌 夏野
24.5.27 東京都清瀬市
敕勒歌 北斉 無名氏
敕勒川
陰山下
天似穹廬
籠蓋四野
天蒼蒼
野茫茫
風吹草低見牛羊
敕勒(ちよくろく)の川
陰山(いんざん)の下(もと)
天は穹廬(きゆうろ)に似て
四野(しや)を籠蓋(ろうがい)す
天は蒼蒼(さうさう)たり
野は茫茫たり
風吹き草低(た)れて牛羊(ぎゆうやう)を見る
24.5.29 東京都清瀬市
※敕勒川:「敕勒」はチュルクというトルコ語の音を写したもの。
「敕勒川」は「陰山下」との関係から、川だけでなく、川を含む
平原一帯のこと。
陰山:大陸内部、内モンゴルから興安嶺に連なる山脈。
穹廬:北方の遊牧民族の住むテント式の家屋。上部が円(まる)い。
24.5.29 東京都清瀬市
敕勒の平原は
陰山の山脈の麓
天は円(まる)いテントのように
四方の平原を覆う
大空は澄んで 抜けるように蒼く
草原は 見わたすかぎり果てしなく広がる
風が吹くと 草は低くなびき 牛や羊の姿が見える
24.5.30 東京都清瀬市