墨場必携:漢詩 寒露凝霜
24.12.24 東京都清瀬市
声声已断華亭鶴
歩歩初驚葛履人
声々(せいせい)已(すで)に断つ 華亭(くわてい)の鶴(つる)
歩々(ほほ)初めて驚く 葛履(かちく)の人
『和漢朗詠集』371 菅原道真
※『日本紀略』醍醐天皇 昌泰三年九月九日「重陽の宴、題に云ふ、寒露凝る」
24.12.27 東京都清瀬市
露が凝(こ)って霜となった
鶴もすでに声を断って鳴かなくなり
薄い履を履いた人は一歩一歩 歩(ほ)を運んでは冷たさに驚く
24.12.27 東京都清瀬市
声声已断:「声を已に断つ」は「もう鳴かなくなった」の意
華亭鶴:西晋の文人武将 陸機(りくき 261〜303)の故事に拠る。
華亭は呉国奉県郊外の地名。また華亭という建物もあったか。
もと呉の臣で国が滅んでのち晋に仕えた陸機は、才能を認められ
ながらも陪臣として不遇であった。
陸機は故国の華亭の鶴の声を聴くことを好んだと伝わる。
葛履:葛で編んだ履き物。薄物の履。
『毛詩』葛履 に「糾糾たる葛履、以て霜を踏むべし」とあるのは
夏の履き物であるという。
冬の履き物としては革履が用いられる。
裸足で霜を踏むアオジ 24.12.10 東京都清瀬市