2012年12月27日

墨場必携:漢詩 寒露凝霜


       
1224山茶花2468.jpg                                          24.12.24 東京都清瀬市

    声声已断華亭鶴
    歩歩初驚葛履人

  声々(せいせい)已(すで)に断つ 華亭(くわてい)の鶴(つる)
  歩々(ほほ)初めて驚く 葛履(かちく)の人

            『和漢朗詠集』371 菅原道真

 ※『日本紀略』醍醐天皇 昌泰三年九月九日「重陽の宴、題に云ふ、寒露凝る」

    
1227鷺0737.jpg                                          24.12.27 東京都清瀬市

  露が凝(こ)って霜となった
  鶴もすでに声を断って鳴かなくなり
  薄い履を履いた人は一歩一歩 歩(ほ)を運んでは冷たさに驚く

       
1227鷺0716.jpg                                          24.12.27 東京都清瀬市

   声声已断:「声を已に断つ」は「もう鳴かなくなった」の意
   華亭鶴:西晋の文人武将 陸機(りくき 261〜303)の故事に拠る。
       華亭は呉国奉県郊外の地名。また華亭という建物もあったか。
       もと呉の臣で国が滅んでのち晋に仕えた陸機は、才能を認められ
       ながらも陪臣として不遇であった。
       陸機は故国の華亭の鶴の声を聴くことを好んだと伝わる。
   葛履:葛で編んだ履き物。薄物の履。
     『毛詩』葛履 に「糾糾たる葛履、以て霜を踏むべし」とあるのは
      夏の履き物であるという。
      冬の履き物としては革履が用いられる。

      
1210アオジ1286.jpg                              裸足で霜を踏むアオジ  24.12.10 東京都清瀬市

      

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