2012年7月29日

墨場必携:漢詩 昌平橋納涼


    
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  昌平橋納涼(しやうへいばしなふりやう)      野田笛浦(のだ てきほ)

   夏雲擘絮月斜明
   細葛含風歩歩軽
   数点篝灯橋外市
   籠虫一担売秋声

    夏雲(かうん)絮(わた)を擘(つんざ)いて月斜(なな)めに明らかなり
    細葛(さいかつ)風を含んで歩歩(ほほ)軽(かろ)し
    数点の篝灯(こうとう)橋外(けうがい)の市
    籠虫(ろうちゆう)一担(いつたん)秋声(しうせい)を売る

    ※細葛(さいかつ):薄い帷子。ここでは夏物の薄い生地の着物
     籠虫(ろうちゆう)一担(いつたん):ひと担ぎ(分)の籠に入った鈴虫。
              虫売りの様子。
              小さな籠に鈴虫を入れ、籠ごと売る。
              その虫籠を担いで売り歩く虫売りという商売があった。

    
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    夏の雲の 綿を裂いたような隙間から 夕月はくっきり光を投げている
    薄物の着物の袖は涼しく風をはらんで 足取りは軽い
    幾つかの明かりがともる 橋のたもとの夜店
    ひと担ぎの鈴虫の籠が並び 早くも秋の声を売っている

    
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