墨場必携:漢詩 昌平橋納涼
24.7.31 東京都清瀬市
昌平橋納涼(しやうへいばしなふりやう) 野田笛浦(のだ てきほ)
夏雲擘絮月斜明
細葛含風歩歩軽
数点篝灯橋外市
籠虫一担売秋声
夏雲(かうん)絮(わた)を擘(つんざ)いて月斜(なな)めに明らかなり
細葛(さいかつ)風を含んで歩歩(ほほ)軽(かろ)し
数点の篝灯(こうとう)橋外(けうがい)の市
籠虫(ろうちゆう)一担(いつたん)秋声(しうせい)を売る
※細葛(さいかつ):薄い帷子。ここでは夏物の薄い生地の着物
籠虫(ろうちゆう)一担(いつたん):ひと担ぎ(分)の籠に入った鈴虫。
虫売りの様子。
小さな籠に鈴虫を入れ、籠ごと売る。
その虫籠を担いで売り歩く虫売りという商売があった。
24.7.31 東京都清瀬市
夏の雲の 綿を裂いたような隙間から 夕月はくっきり光を投げている
薄物の着物の袖は涼しく風をはらんで 足取りは軽い
幾つかの明かりがともる 橋のたもとの夜店
ひと担ぎの鈴虫の籠が並び 早くも秋の声を売っている
24.7.15 東京都清瀬市