墨場必携:漢詩 雨後登樓
23.8.26 東京都清瀬市
雨後登樓(雨後楼に登る) 絶海中津(ぜつかいちゆうしん)
一天過雨洗新秋
攜友同登江上樓
欲寫仲宣千古恨
斷烟疏樹不堪愁
一天の過雨(かう) 新秋を洗ふ
友を携(たづさ)へ同(とも)に登る江上(かうじやう)の楼
仲宣(ちゆうせん)が千古(せんこ)の恨(うらみ)を写さんと欲するも
断烟(だんえん)疏樹(そじゆ)愁(うれひ)に堪へず
仲宣:魏の王粲(わうさん)の字(あざな)
千古恨:漢末の乱に故国を離れ荊州に逃れたが志を得ず、
登楼賦に郷愁を歌ったとする。
断烟:烟はもや。
疏樹:疏は疎密の「疎」に同じ。まばらなこと。
23.8.6 東京都清瀬市
空一面 通り雨が過ぎて 新秋の景色を洗い出したので
友と連れだって川のほとりの楼に登った
昔 王粲が志を得ずして
登楼賦を作って故郷を思った顰(ひそ)みに倣おうと思うが
見えるものは千切れて浮かぶ烟(もや)と疏(まばら)な樹木ばかりで
郷愁に堪えられない
23.8.28 東京都清瀬市