2011年9月 2日

墨場必携:漢詩 雨後登樓

 
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   雨後登樓(雨後楼に登る)   絶海中津(ぜつかいちゆうしん)

     一天過雨洗新秋
     攜友同登江上樓
     欲寫仲宣千古恨
     斷烟疏樹不堪愁

       一天の過雨(かう) 新秋を洗ふ
       友を携(たづさ)へ同(とも)に登る江上(かうじやう)の楼
       仲宣(ちゆうせん)が千古(せんこ)の恨(うらみ)を写さんと欲するも
       断烟(だんえん)疏樹(そじゆ)愁(うれひ)に堪へず

      仲宣:魏の王粲(わうさん)の字(あざな)
      千古恨:漢末の乱に故国を離れ荊州に逃れたが志を得ず、
          登楼賦に郷愁を歌ったとする。
      断烟:烟はもや。
      疏樹:疏は疎密の「疎」に同じ。まばらなこと。

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     空一面 通り雨が過ぎて 新秋の景色を洗い出したので
     友と連れだって川のほとりの楼に登った
     昔 王粲が志を得ずして
           登楼賦を作って故郷を思った顰(ひそ)みに倣おうと思うが
     見えるものは千切れて浮かぶ烟(もや)と疏(まばら)な樹木ばかりで
                             郷愁に堪えられない

    
0828樹3064.jpg                                            23.8.28 東京都清瀬市



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