2012年3月23日

墨場必携:漢詩 春遊


    
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                                            24.3.21 東京都清瀬市

  「春遊(しゆんいう)」    江馬細香  

     相約春郊歩釅晴
     東風一路繍鞋軽
     綿蛮百囀知何處
     翠柳烟深不認鶯     

     
0321シダレウメ26780.jpg                                     枝垂れ梅 24.3.21 東京都清瀬市

      相(あひ)約して 春郊(しゆんかう) 釅晴(げんせい)に歩む
      東風一路 繍鞋(しうあい)軽(かろ)し
      綿蛮(めんばん)百囀(ひやくてん) 知んぬ 何(いづ)れの処なるか
      翠柳(すゐりう)烟(けむり)深くして 鶯を認めず

    釅晴:「釅」は濃度が濃い意。「釅晴」は快晴。
    繍鞋:刺繍の履物。もとは中国の縫い取りのある履のことで、漢詩にあり、
       ここは婦人の履き物、草履や下駄の意に用いている。
    綿蛮:鶯の鳴き声を言う。『詩経・小雅』にある。
    知何處:「何處」どこ、すなわち不明の場所を「知った」とする構文。
        拠って、その場所を知らない、どこかわからない、の意。
    烟:「煙」に同じ。大気に漂う靄(もや)のこと。春の場合は霞と同じ。


     
0321百舌鳥6804.jpg                                       百舌鳥 24.3.21 東京都清瀬市

     約束しあって春の野を よく晴れた陽光のもと歩む
     春風の吹きすぎる一筋の道 私の足取りも軽い
     鶯のさかんに囀(さえず)る声が聴こえるのは 一体どこに
     翠に芽吹く柳に春の霞は深く 鶯の姿は見えない


     
0321シダレウメ6813.jpg                                      枝垂れ梅 24.2.12 東京都清瀬市







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