2012年4月28日

墨場必携:漢詩 送春 菅原道真


      
0424鬱金桜6867.jpg                                       鬱金桜 24.4.24 東京都清瀬市

  「送春」    菅原道真 

     送春不用動舟車
     唯別残鶯與落花
     若使韶光知我意
     今宵旅宿在詩家
             『菅家文草』
             『和漢朗詠集』春上 三月尽
             ※三月尽は陰暦三月の末日、春の最終日。
              今年の三月尽は現行暦の五月四日(立夏の前日)。

      
0424百舌鳥6882.jpg                                       百舌鳥 24.4.24 東京都清瀬市

      春を送るに舟車(しうしや)を動かすことを用ゐず
      唯だ残鶯(ざんあう)と落花とに別る 
      若(も)し韶光(ぜうくわう)をして我が意を知らしめましかば
      今宵(こよひ)の旅宿(りよしゆく)は詩(しい)が家に在らまし


   残鶯:春が過ぎる頃にまだ啼いている鶯。晩春の鶯。
   韶光:春の穏やかな明るい光。
   詩家:詩人の家。詩人はここでは作者道真自身。

      
0424桜6951.jpg
                                     残りの桜 24.4.24 東京都清瀬市

    春を送るのに舟や車の乗り物を動かす必要はない
    ただ晩春の鶯が行き 花が散ることで 春に別れるのだ
    もしも 去りゆく春に 別れを惜しむ私の思いを知らせることができたなら
    春の尽きる今宵 最後の宿りに我が家を選んでくれるのだろうが

      
0424ヒメリンゴ6696.jpg                                  クラブアップル 24.4.24 東京都清瀬市


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