墨場必携:漢詩 霰
24.1.24 東京都清瀬市
「霰」 横山致堂
雜雨隨風勢欲摧
忽跳屋瓦點階苔
天公應買梅花笑
先擲明珠百斛來
雨に雑(まじ)り風に随(したが)ひて
勢(せい)摧(くだ)けんと欲し
忽(たちま)ち屋瓦(おくが)に跳(と)び階苔(かいたい)に点ず
天公(てんこう)応(まさ)に梅花(ばいか)の笑ひを買ふべく
先(ま)づ明珠(めいしゆ)
百斛(ひやくこく)を擲(なげう)ち来(きた)る
屋瓦:屋根瓦。
階苔:きざはし(建物に上がる)の苔。
天公:天上の主。天帝。
買笑:佳人の嬉笑を得ること。
梁の武帝と麗娟との故事の基づき、薔薇の異称にいう。
ここではそれを踏まえた上で梅花に転用している。
百斛:「斛」は量の単位で「石」に同じ。十斗。
24.1.24 東京都清瀬市
雨にまじり風に従って なにもかもを摧(くだ)きそうな勢い
屋根瓦に跳びはね 階(きざはし)の苔にぽつぽつと小さな跡をつける
天上の神は梅の花を喜ばせようとしたのだろう
まず輝き光る宝玉を百斛(こく)も地上に投げ寄せてきたのだ
24.1.24 東京都清瀬市