2011年11月18日

墨場必携:漢詩 落葉賦

    
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  「落葉賦(らくえふのふ)」(紀齋名)より抜粋 
                   『本朝文粋』巻第一、 賦、樹木

    則知華以春栄。葉以秋落。
    感春秋之逓換。知盛衰之所託。
    不常其節。験先衰於靑楸。
    何守其貞。嗤後凋於翠栢。
    
     則(すなは)ち知りぬ、華(はな)は春を以(もち)て栄え、
                         葉は秋を以(もち)て落つ。
     春秋(しゆんじう)の逓換(ていくわん)に感じて、
                    盛衰(せいすゐ)の託する所を知りぬ。
     其の節を常にせず、
            先づ衰ふることを青楸(せいしう)に験(こころ)みる。
     何ぞ其の貞を守らむ、
           後に凋(しぼ)むことを翠栢(すゐはく)に嗤(わら)ふ。

   ※春秋之逓換:春と秋とが交互に入れ替わること。繰り返す四時の移り変わり。
   ※盛衰之所託:盛と衰のよる所。盛衰の理(ことわり)。
   ※青楸:青いヒサギ。落葉樹。
   ※凋:しぼむ 
   ※翠栢:栢は柏に同じ。常緑樹。常緑樹の総称にも用いる。翠栢は緑の柏。

    
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    当然のことに、花は春に咲き、葉は秋に落ちることを知る。
    春と秋とが互いに入れ替わることに感じて、盛と衰とのよる所を知る。
    自然界に、一年中その節操を尽くして変わらないものはない。
    それは、青い楸(ヒサギ)の葉が先ず衰え落ちることによって知られる。
    どうして一年中その不変の姿を変えずにいられようか。
    緑の柏が他の木々におくれて枯れしぼむことを嗤う。
    
    
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