2013年2月 6日

墨場必携:漢文「春生逐地形序」


     
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   「春生逐地形序」 慶滋保胤(よししげのやすたね)

       東岸西岸之柳、遅速不同。
       南枝北枝之梅、開落已異。
                     『和漢朗詠集』11「春」早春
 
    東岸西岸の柳、遅速(ちそく)同じからず。  
    南枝(なんし)北枝(ほくし)の梅、開落已(すで)に異なり。

      
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   同じ水辺も東岸の柳は芽吹きが早く、西岸の柳は遅い。
   同じ嶺でも、南の枝の花が散る頃、北の枝の花が開く。

      
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   東岸西岸之柳、遅速不同。:白居易「早春即事」に、
       「北の簷(のき)梅晩に白く 東の岸 柳先ず青みたり」がある。
   南枝北枝之梅、開落已異。:『白氏六帖』梅部 南枝 に、
                「大庾嶺上の梅、南枝落ち北枝開く」がある。
        大庾(たいゆう)は梅の名所。江西省と広東省との境にある山。
        唐代に張九齢が山嶺に梅を植えて梅嶺と名づけ、名所となった。
   遅速(ちそく):ここでは春の訪れの表れである芽吹きの早い遅いをいう。
   開落已異:「異」(ことなり)は形容動詞で訓んでいる。「違っている」の意。


      
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