墨場必携:漢文「春生逐地形序」
25.2.3 東京都清瀬市
「春生逐地形序」 慶滋保胤(よししげのやすたね)
東岸西岸之柳、遅速不同。
南枝北枝之梅、開落已異。
『和漢朗詠集』11「春」早春
東岸西岸の柳、遅速(ちそく)同じからず。
南枝(なんし)北枝(ほくし)の梅、開落已(すで)に異なり。
25.2.2 東京都清瀬市
同じ水辺も東岸の柳は芽吹きが早く、西岸の柳は遅い。
同じ嶺でも、南の枝の花が散る頃、北の枝の花が開く。
25.2.3 東京都清瀬市
東岸西岸之柳、遅速不同。:白居易「早春即事」に、
「北の簷(のき)梅晩に白く 東の岸 柳先ず青みたり」がある。
南枝北枝之梅、開落已異。:『白氏六帖』梅部 南枝 に、
「大庾嶺上の梅、南枝落ち北枝開く」がある。
大庾(たいゆう)は梅の名所。江西省と広東省との境にある山。
唐代に張九齢が山嶺に梅を植えて梅嶺と名づけ、名所となった。
遅速(ちそく):ここでは春の訪れの表れである芽吹きの早い遅いをいう。
開落已異:「異」(ことなり)は形容動詞で訓んでいる。「違っている」の意。
25.2.3 東京都清瀬市