2012年6月15日

墨場必携:漢詩 梅雨新霽 梅雨の晴れ間


   
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  「梅雨新霽(ばいうあらたにはる)」     都良香(みやこのよしか)

     雲消碧落天膚解
     風動清漪水面皴

    雲(くも)碧落(へきらく)に消えて 天膚(はだへ)解く
    風清漪(せいい)を動(ゆる)かして 水の面(おもて)皴(しわ)めり

                       『和漢朗詠集』下「晴」412

   ※霽:すっきりと晴れる意。
      雨だった気象から晴天に変化する際に用いられることが多い。
    碧落:深い青空の尽きるところ。空の果て。
    清漪:「漪」は小さな波、さざ波。
    水面皴:「皺む」はマ行四段活用の動詞。皺になる。皺が寄る。

    
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    雲は青空のかなたに消え去って 
              それはあたかも天を覆っていた膚が解けて消えたよう

    風はさざ波をかろやかに動かして 
      (くっきりと波紋を見せる)水の面は あたかも皺が寄っているようだ


   ※梅雨期の晴れ間を詠むもの。
    一見奇妙な比喩ではあるが、梅雨時に日常的に見る雨天の空、雨中の水面の
    様子を念頭に置き、それとは違う晴れた日の景色を表現しようとしたもの。 

      
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