墨場必携:漢詩 梅雨新霽 梅雨の晴れ間
24.6.10 東京都清瀬市
「梅雨新霽(ばいうあらたにはる)」 都良香(みやこのよしか)
雲消碧落天膚解
風動清漪水面皴
雲(くも)碧落(へきらく)に消えて 天膚(はだへ)解く
風清漪(せいい)を動(ゆる)かして 水の面(おもて)皴(しわ)めり
『和漢朗詠集』下「晴」412
※霽:すっきりと晴れる意。
雨だった気象から晴天に変化する際に用いられることが多い。
碧落:深い青空の尽きるところ。空の果て。
清漪:「漪」は小さな波、さざ波。
水面皴:「皺む」はマ行四段活用の動詞。皺になる。皺が寄る。
24.6.10 東京都清瀬市
雲は青空のかなたに消え去って
それはあたかも天を覆っていた膚が解けて消えたよう
風はさざ波をかろやかに動かして
(くっきりと波紋を見せる)水の面は あたかも皺が寄っているようだ
※梅雨期の晴れ間を詠むもの。
一見奇妙な比喩ではあるが、梅雨時に日常的に見る雨天の空、雨中の水面の
様子を念頭に置き、それとは違う晴れた日の景色を表現しようとしたもの。
24.6.10 東京都清瀬市