墨場必携:漢詩 葵花
ヒマワリ 23.8.6 東京都清瀬市
葵花(きか) 宇野南邨(うのなんそん)
瀟洒精神冷淡姿
黄冠攲側翠衣垂
可憐向日心長在
不到夕陽人不知
瀟洒(せうしや)の精神 冷淡の姿(し)
黄冠(くわうくわん)攲側(きそく)し 翠衣(すいい)垂る
憐むべし 日に向かひて心長(つね)に在るも
夕陽(せきやう)に到らざれば 人の知らざるを
葵花:向日葵(ヒマワリ)
ナミアゲハ 23.8.9 東京都清瀬市
すっきりした精神 あっさりした姿
黄色い冠はかたむき 翠の衣は垂れる
気の毒なことに 心はいつも日に向かっているのに
夕暮れにならないと 人にはわからないとは
ヒマワリ 23.8.6 東京都清瀬市
客中初夏(かくちゆうのしよか) 司馬光(しば こう)
四月清和雨乍晴
南山當戸轉分明
更無柳絮因風起
惟有葵花向日傾
四月(しぐわつ) 清和 雨乍(ながら)も晴れ
南山 戸に当たつて 転(うた)た分明なり
更に柳絮(りうじよ)の風に因つて起こる無く
惟だ葵花の日に向かつて傾く有るのみ
柳絮:柳の種子の表面に生じる白い綿毛のようなもの、風に乗って舞う。
葵花:蜀葵(タチアオイ)
モミジアオイ 23.8.6 東京都清瀬市
初夏の陰暦四月 雨はにわかにあがり のどかに晴れた
南山は旅の宿の正面に ますますくっきり見える
もう柳絮が風に吹かれて舞い上がることもなく
ただ葵花が太陽に向かって傾いているだけだ
23.8.14 東京都清瀬市