墨場必携:漢詩 河陽花
23.2.4 東京都清瀬市
「河陽十詠」四首 嵯峨天皇(『文華秀麗集』所収)
「河陽花」
三春二月河陽懸
河陽從來富於花
花落能紅復能白
山嵐頻下萬條斜
三春 二月 河陽県(かやうけん)
河陽 従来 花に富む
花落つること能(よ)く紅(くれなゐ)に復(ま)た能く白し
山嵐(さんらん) 頻りに下りて 万条斜めなり
三春:春の三ヶ月。一月、二月、三月。
河陽県(かようけん):もとは中国の地名。現在の河南省孟県付近。
嵯峨帝のこの詩では山城国大山崎(現京都府)を詠むか。
山嵐:山を吹き下りてくる風。
万条:花の木の数多の枝々。
春の二月の河陽県(大山崎)、
河陽はもともと花に富む。
花散って赤い花びら白い花びら入り混じり、
山の風が頻りに吹き下ろしては、花の枝々は斜めに身を傾ける。
23.2.4 東京都清瀬市
翡翠 23.1.31 東京都清瀬市