墨場必携:漢詩 初春侍宴
23.1.2 東京都清瀬市
寛政情既遠
迪古道惟新
穆穆四門客
済済三徳人
梅雪乱残岸
煙霞接早春
共遊聖主沢
同賀撃壌仁
寛政(くわんせい)情既に遠く
迪古(てきこ)道惟(こ)れ新たし
穆穆(ぼくぼく)たり四門の客
済済(せいせい)たり三徳の人
梅雪(ばいせつ)残岸(ざんがん)に乱れ
煙霞(えんか)早春(さうしゆん)に接す
共に聖主の沢(たく)に遊び
同(とも)に撃壌の仁を賀す
寛政:寛大な政治
迪古:古代の正しい道を踏み行うこと。「迪」は「踏む」。
穆穆:厳かで麗しいさま
四門:宮中の四方の門。「四門の客」は宮中に集う人の意。
済済:多士済々と使われる。優れた人材の大いさま。
三徳:智、仁、勇(『礼記』中庸)
残岸:崩れ落ちて残った部分が崖になった地形。切り立った崖。
撃壌:鼓腹撃壌の故事(『帝王世紀』)から、太平を謳歌すること。
大らかな政(まつりごと)を行い給ふ大君の御心は遠く行き渡り
いにしえの道にのっとる御政道はここに新しい一歩を踏み出した。
客人たちは四方の門から威儀を正してここに集い、
あまたここに集うのは皆徳に優れた人びとばかり。
雪のように白い梅の花びらが切り立った岸壁に乱れ散り、
霞が早春の空にたなびいている。
我ら集って尊い君の恩沢に遊び、
共に太平の御代をことほぐ。
23.1.6 東京都清瀬市