2012年1月 6日

墨場必携:漢詩 元日 頼山陽

    
1217富士7263.jpg                                           23.12.17 東京都清瀬市


   「元日」   頼山陽

       故帋堆中歳過强
       猶餘筆削志偏長
       東窻掃几迎初日
       讀起春王正月章

     故帋(こし)堆中(たいちゆう)、歳(とし)强(きやう)を過ぐ。
     猶(な)ほ筆削(ひつさく)を余(あま)して志偏(ひとへ)に長し。
     東窓(とうさう)几(き)を掃(はら)つて初日を迎へ、
     読み起こす、春(はる)王(わう)正月(しょうぐわつ)の章(しやう)。
     
      故帋:古い書き物。「帋」は「紙」の俗字。
      強:四十歳。強壮の頃を指していう。
      筆削:書いたものの手直し、修正。この時期は『日本外史』執筆中。
      志偏長:志す所が遼遠なさま。
      東窻:東向きの窓。朝日の光が射し込む入り口。
      掃几:「几」は机。机を掃(はら)い浄める。
      春王正月章:史書『春秋』の列伝は「春、(時の)王、正月」から
            多くの章は始まる。そうした章のいずれか。

    
090111光4088.jpg                                            20.1.11 東京都清瀬市

  古い書き物がうずたかく積もる中で、歳は四十を過ぎた。
  なお手を入れなければならない原稿を山と残して、先はまだはるかに遠い。
  東の窓に面した机を掃(はら)い浄めて初日を迎え、
  『春秋』の新年の章から改めて読みはじめる。

    0102ヒヨドリ8213.jpg                                            24.1.2 東京都清瀬市

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