墨場必携:漢詩 元日 頼山陽
23.12.17 東京都清瀬市
「元日」 頼山陽
故帋堆中歳過强
猶餘筆削志偏長
東窻掃几迎初日
讀起春王正月章
故帋(こし)堆中(たいちゆう)、歳(とし)强(きやう)を過ぐ。
猶(な)ほ筆削(ひつさく)を余(あま)して志偏(ひとへ)に長し。
東窓(とうさう)几(き)を掃(はら)つて初日を迎へ、
読み起こす、春(はる)王(わう)正月(しょうぐわつ)の章(しやう)。
故帋:古い書き物。「帋」は「紙」の俗字。
強:四十歳。強壮の頃を指していう。
筆削:書いたものの手直し、修正。この時期は『日本外史』執筆中。
志偏長:志す所が遼遠なさま。
東窻:東向きの窓。朝日の光が射し込む入り口。
掃几:「几」は机。机を掃(はら)い浄める。
春王正月章:史書『春秋』の列伝は「春、(時の)王、正月」から
多くの章は始まる。そうした章のいずれか。
20.1.11 東京都清瀬市
古い書き物がうずたかく積もる中で、歳は四十を過ぎた。
なお手を入れなければならない原稿を山と残して、先はまだはるかに遠い。
東の窓に面した机を掃(はら)い浄めて初日を迎え、
『春秋』の新年の章から改めて読みはじめる。
24.1.2 東京都清瀬市