2013年2月 9日

墨場必携:漢詩 題大庾嶺画 菅原文時

     
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 (「題大庾嶺画(たいゆうれいのがにだいす)」※)  菅三品(菅原文時)
           
        五嶺蒼蒼雲往來
        但憐大庾萬株梅
        誰言春色従東到
        露暖南枝花始開
               『和漢朗詠集』91・92「春」梅
   ※『江談抄』に拠れば、本詩は「内裏坤元録屏風」(村上天皇天暦年間)に
     詠まれた作。中国の名所を集め、それぞれに因んだ詩を添えた屏風。

     
    五嶺(ごれい)蒼々(さうさう)として 雲往来す
    但(ただ)憐れむ 大庾(たいゆう)万株(まんしゆ)の梅
    誰(たれ)か言ふ 春の色の東(ひむがし)より到ると
    露暖かにして 南枝(なんし)に花始めて開く


      
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   五嶺は蒼蒼(あおあお)として 頂きを雲が来ては去ってゆくばかり
   ただ大庾の嶺だけは 万株にも及ぶ梅の花がすばらしい
   誰が言ったのだろう 春の気配は東から訪れると
   陽光に露も暖められて 南の枝から花は咲き始めた
    
      
0208梅0508.jpg                                           25.2.8 東京都清瀬市

  五嶺(ごれい):大陸中国の南部を東西に伸びる南嶺山脈を、別名五嶺山脈、
    また五嶺という。西から東に、順に越城嶺(えつじょうれい)、都龐嶺
   (とほうれい)、萌渚嶺(ほうしょれい)、騎田嶺(きでんれい)、大庾嶺
   (だいゆれい:本詩「たいゆう」の地)の五つの嶺からなる。
  大庾萬株梅:大庾(たいゆう)は五嶺山脈の東の端の嶺。
    唐の宰相張九齢(678〜740)が大庾嶺を切り開いて梅を植え
    (「梅関古道」)たことから、後は梅嶺とも呼ばれる。
    梅の名所として白居易などが詩歌に詠み、我が国の詩もこれを引く。
  
      
0202ジョウビタキ9045.jpg                                    ジョウビタキ 25.2.2 東京都清瀬市
   





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