2012年10月28日

墨場必携:漢詩 桂林荘雑詠示諸生


    
1024紅葉6515.jpg                                         24.10.24 東京都清瀬市


  桂林荘雑詠示諸生(桂林荘雑詠諸生に示す)   廣瀬淡窓(ひろせたんそう)

   休道他郷多苦辛
   同袍友有自相親
   柴扉暁出霜如雪
   君汲川流我拾薪

  道(い)ふを休(や)めよ 他郷苦辛多しと
  同袍の友有り自(おのづか)ら相ひ親しむ
  柴扉(さいひ)暁(あかつき)に出づれば 霜雪のごとし
  君は川流(せんりう)を汲め 我は薪(たきぎ)を拾はん

    
1021鷺6067.jpg                                           24.10.21 東京都清瀬市


    志を立てて郷里を出て来た以上、他郷は労苦が多いなどとは言うまいぞ。
    志を同じくする友は大勢いて、
        不自由を忍びながら、一枚の着物を共有する親友もできるだろう。
    明け方、質素な柴の戸を開ければ、一面に白く降りた霜は雪のようだ。
    さあ、君は川の流れに水を汲みたまえ、僕は林に入って薪を拾ってこよう。
    
 
    
1020鳥5615.jpg
                                           24.10.20 東京都清瀬市


  同袍友有:「袍(ほう)」は綿入れの着物。褞袍(どてら)の類。
       「同袍友」は一枚の袍を共に用いる親しい友のこと。
  柴扉:「柴の戸」。
     「柴の戸」は簡素な建物の簡略な出入り口の象徴。
      学生の共同生活する建物の簡素なさま、そこからその生活の質実なさまを
      伺わせる。
  川流:川の水。生活用水として川の水を汲む。ここでは朝の炊事の支度。


    
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                                         24.10.24 東京都清瀬市




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