墨場必携:漢詩 桂林荘雑詠示諸生
24.10.24 東京都清瀬市
桂林荘雑詠示諸生(桂林荘雑詠諸生に示す) 廣瀬淡窓(ひろせたんそう)
休道他郷多苦辛
同袍友有自相親
柴扉暁出霜如雪
君汲川流我拾薪
道(い)ふを休(や)めよ 他郷苦辛多しと
同袍の友有り自(おのづか)ら相ひ親しむ
柴扉(さいひ)暁(あかつき)に出づれば 霜雪のごとし
君は川流(せんりう)を汲め 我は薪(たきぎ)を拾はん
24.10.21 東京都清瀬市
志を立てて郷里を出て来た以上、他郷は労苦が多いなどとは言うまいぞ。
志を同じくする友は大勢いて、
不自由を忍びながら、一枚の着物を共有する親友もできるだろう。
明け方、質素な柴の戸を開ければ、一面に白く降りた霜は雪のようだ。
さあ、君は川の流れに水を汲みたまえ、僕は林に入って薪を拾ってこよう。
24.10.20 東京都清瀬市
同袍友有:「袍(ほう)」は綿入れの着物。褞袍(どてら)の類。
「同袍友」は一枚の袍を共に用いる親しい友のこと。
柴扉:「柴の戸」。
「柴の戸」は簡素な建物の簡略な出入り口の象徴。
学生の共同生活する建物の簡素なさま、そこからその生活の質実なさまを
伺わせる。
川流:川の水。生活用水として川の水を汲む。ここでは朝の炊事の支度。
24.10.24 東京都清瀬市