2008年7月25日

ギャラリートークの準備中

どうせ有名なものばっかりだから簡単簡単。でも、ちょっと調べようかな。と調べだしたら、簡単ではありません。とにかく数が多いし、印象批評だけでもいやだし。でもやっと終わりそうです。

石門の拓本が三本並びますが、これ、ちょっとおもしろいです。

まず、西暦66年に、蜀の桟道の難工事を記念した「開通褒斜道刻石」。石のひだをよけて、自由自在に書かれた、すばらしい摩崖碑です。

ところが、その道がまた通れなくなって大工事がなされ、82年後の148年、工事の監督者だった楊孟文の徳をたたえた「石門頌」が作られました。文字の大きさがそろい、整理されていますが、古朴な味わいは同じです。あっ、テキストシリーズにない(汗)。

その25年後、たまたま通りかかった楊孟文と同郷の人が、石門頌に感動して、楊さんの孫だってすごいんだぞと「楊淮表記」を作りました。自由でのびのびとしていて、左右にかたむき変化に富み、すごく魅力的です。

当時は紙などなかったのですから、岩に直接書いたと思います。だから「開通褒斜道刻石」を見た人が、ライバル意識を燃やして、まったくっ雰囲気の異なる書風で「石門頌」を書いたのです。そして、「石門頌」の補足ともいうべき「楊淮表記」を、こんな風に書くなんて、すごいことです。後世の人もここに題字などを書いたわけですから、石門の中は、あたかも名品のギャラリーですね。今はダムを作るために壊されて、漢中博物館に移されてしまい、本当に残念です。

 

明日は銀座画廊美術館(7F)で、午後4時からギャラリートークです。たくさん聞きに来てくれるかな。ちょっと心配。

 

臨書に挑戦!(田村南海子ブログ)    

営業部からの便り(橋爪ますみ・佐藤貞男)

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