2008年6月17日

紫陽花の詩

昨日更新された連載「みやと探す・作品に書きたい四季の言葉」は、紫陽花です。きれいな花の写真がたくさん掲載されています。ぜひご覧ください。

紫陽花といえば、私の大好きな詩があります。結婚する前にプレゼントされた、金井直の詩集に載っていた詩です。

 

あじさい

 

また季節はめぐりきて

うすむらさきのほほえみはよみがえる

あなたは思い出

いつみても懐かしい

いつまでもあなたのそばにいると

あなたの色が沁みこんでくるようだ

かけがえのない愛の色よ

あなたの繁みの奥に

こころのゆりかごを静かにゆり動かす手がある

あなたの蔭に「時」のない影がある

だがもう

あなたの芯から名前は生れではしても

むかしのあなたではない

あの日のいのちとともにうすれて

いつか消えてしまった

ただひとたびの美しさよ

今あなたにくまどられながら

じっとあなたをみつめていると

眼が痛くなり

眼を閉じると

急にまわりが広くなる

遠いものは近くなり

近いものは遠くなる

あなたの中に私が在るのか

私の中にあなたが在るのか

わからなくなる

そして

人というものが哀しくなってくる

 

 

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