2012年4月13日

墨場必携:漢文「冷泉院池亭花光浮水上」詩序


     
0407桜1759.jpg                                            24.4.7 東京都清瀬市

  「冷泉院池亭花光浮水上」詩序     菅三品(菅原文時)  

     瑩日瑩風 高低千顆万顆之玉
     染枝染浪 表裏一入再入之紅
     誰謂水無心 濃艶臨兮波変色
     誰謂花不語 軽漾激兮影動脣

     
0404桜1094.jpg                                    ソメイヨシノ 24.4.4 東京都清瀬市

      日に瑩(みが)き 風に瑩(みが)く
           高低(かうてい)千顆万顆(せんくわばんくわ)の玉
      枝を染め 浪を染む
           表裏(へうり)一入再入(いちじふさいじふ)の紅(こう) 
      誰(たれ)か謂(い)ひし 水 心無しと
           濃艶(ぢようえん)臨(のぞ)んで 波 色を変ず
      誰(たれ)か謂(い)ひし 花 語(ものい)はずと
           軽漾(けいやう)激して影脣を動かす


    瑩日瑩風:花を玉にたとえた形容。
    一入再入:染色の用語。染料に一度入れ、また入れて、濃さを増す。
         一入は和語としては「ひとしほ」。
    軽漾:軽らかな波
    
     
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                                          24.4.7 東京都清瀬市

      日の光にみがかれ、風にみがかれて、
        高い梢に、低い水面に 輝く千粒万粒の玉のような美しさ。
      枝を染め、枝を映す池の波を染めて、
        あたかも裏と表とを薄く濃く染め分けた紅の衣のようだ。 
      誰が言ったか、水には心がないと。
        色濃く魅力的な花が水面をのぞき込むと水は色を変える。
      誰が言ったか、花はものいわぬと。
        水面に小波(さざなみ)が立てば花影はゆらぎ、
                         花は脣を動かすのである。

      
0407桜2062.jpg                                           24.4.27 東京都清瀬市



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