墨場必携:和歌 秋の夜 秋深し 残りの秋...
・あしひきの山鳥の尾のしだり尾の
ながながし夜をひとりかも寝む
柿本人麻呂『拾遺和歌集』
・天[あめ]の海に雲の波立ち
月の船 星の林に漕ぎ隱る見ゆ
柿本人麻呂『万葉集』1068
・さ夜中と夜は深[ふ]けぬらし
雁が音[ね]の聞ゆる空に月渡る見ゆ
柿本人麻呂『万葉集』1701
・いま来むと言ひしばかりに
長月の有り明けの月を待ち出でつるかな
素性『古今和歌集』691
20.10.22 有明の月 東京都清瀬市
・おほかたの秋のあはれを思ひやれ
月に心はあくがれぬとも
紫式部「紫式部集」
・さびしさやおもひ弱ると月見れば
心の底ぞ 秋深くなる
藤原良経「花月百首」
・秋よ今 残りのあはれをかしとや
雲と風との夕暮れの時
伏見院「伏見院御集」