墨場必携:和歌 梅
21.2.8 東京都清瀬市
・難波津に咲くやこの花 冬ごもり
今日[けふ]を春べと 咲くやこの花
『古今和歌集』仮名序
・たが宿のうめのはなぞも
ひさかたのきよき月夜にここら散りくる
『柿本集』162
◎ここら:たくさん、多く
・勅なればいともかしこし
鶯の宿はと問はばいかが答へむ
『大鏡』第六巻 『拾遺和歌集』531
・わかやどの梅のたちえ(立枝)や見えつらん
思ひの外[ほか]に君がき(来)ませる
平兼盛『拾遺和歌集』15
・あかざりし君がにほひのこひしさに
梅の花をぞ けさは折りつる
中務卿具平親王『拾遺和歌集』1005
・梅の花匂[にほひ]の深く見えつるは
春の隣のちかきなりけり
三統元夏『拾遺和歌集』1156
・梅がか(香)にたぐへて聞けは
鴬[うぐひす]のこゑなつかしき春の明ぼの
『西行法師家集』22
・とめこ(尋来)かし 梅さかりなる我が宿を
うときも人はをり(折)にこそよれ
『西行法師家集』34
・春くればまづ咲く宿のうめの花
香をなつかしみうぐひすぞなく
『金槐和歌集』14
・この寝ぬるあさけの風にかをるなり
のきばのうめの春のはつはな
『金槐和歌集』655