墨場必携:和歌 木下幸文他
21.7.30 東京都清瀬市
胡蝶
庭に飛ぶこてふを見ても思ふ哉(かな)
花にしみにし人の心を
『亮亮遺稿』中 木下幸文
わがそのを夏とともにもとふものは
袖かろげなる胡蝶なりけり
阪正臣「樅屋歌稿」『樅屋全集』二
21.7.20 東京都清瀬市
21.7.20 東京都清瀬市
夏蝶
夏草の花とふてふの羽そでこそ
はるにまさりてかろげなりけれ
阪正臣「樅屋詠草」『樅屋全集』三
21.7.20 東京都清瀬市
なつくさもぬきすてがたし
昼顔のまとふすがたのいつくしくして
香淳皇后「あけほの集」
明るみへおのれの心のひらけゆきて
夏あさき庭の みどりに対[むか]ふ
橋田東声
水無月の晦日の日、よめる
夏と秋と行きかふ空のかよひ路は
片方[かたへ]涼しき風やふくらむ
凡河内躬恒『古今和歌集』168
秋立日、よめる
秋来ぬと目にはさやかに見えねども
風の音にぞおどろかれぬる
藤原敏行朝臣『古今和歌集』169
立秋
雨のうちに夏は涼しくくれゆきて
あつき秋こそ今日立ちにけれ
阪正臣「樅園詠草」『樅屋全集』二
21.8.16 東京都清瀬市
【文例】 訳詩・近現代詩へ